堕ちた人斬り4

日向:ああ………そうですか…記憶を失い、人格すら壊れてしまったんです。私が死のうが……どうでもいいと、そう言うことですよね…音無さん?


音無:………!この、分からず屋が!


(音無は日向の頬を平手打ちした)


日向:………………?(何故叩かれたのか分かっていないようだ)


音無:反省する事と、ご自身を卑下するのは……本質からして全く違うんです。かつて主を叱ってた日向さんなら……よくご存知のはずですよ!?


先ほどの日向さんの言葉は………ご自身を卑下するだけでなく、主の事すら馬鹿にしたんです!


人格が壊れ…記憶も失って、確かに最期の瞬間……主は日向さんを省みる事はありませんでした。


でも……主との関係は……日向さんにとって、そんな簡単に壊れてしまうものだったんですか?


日向さんの中の主は……そんな簡単に、悪に屈してしまうような…弱い人だったんですか?


…………そんな訳、無いんですよね。むしろその程度で壊れてしまうような関係だったのなら、そこまでご自身を卑下する必要はありません。


仮に哀しみを覚えたところで、自死を思うほど思い詰める事もなかったでしょう。


それほど日向さんにとって主は……かけがえのない存在だった。ですが……先ほどの言葉は聞き捨てなりません。絶望から自暴自棄になるあまり、過去の日向さんに対する主の気持ちまで貶めたんですよ?


いいですか……日向さん。あの時の主は壊れていた。それは俺だって事実だと受け止めています…だからこそ、あれ以上手を汚させないように…


俺が止めを差しました。ですが……主が歩んできた過去は変わらない。かつて抱いていた想いや決意…覚悟は、例えどんなことがあろうと揺らぐ事も…失われる事もないんです!


だから俺は………壊れてたあの時も、そして今でも主に仕えている。多分…酣姉さんも同じ思いでしょう。

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