堕ちた人斬り3

音無:なので、罪の種類ではなく個人の考えを鑑みた上で適切な刑を与えなければ……刑罰など何の意味も持たないんです。さすがに日向さんはご存知だと思ってたんですがね。


日向:尚更私には死刑がふさわしいんじゃないのですか?自ら望んでいるんですよ。


音無:………日向さん。やはり何も分かっていないんですね。


(音無はため息をつくと話し始めた)


そもそも死にたがっている罪人に死刑を与えてどうするんですか。それじゃ刑罰じゃなくて褒美じゃないですか。


自らを責めて後悔しているならなおのこと。主もそうでしたけど…終身刑の意義、それは……反省し後悔して、苦しみや自らの罪を背負い生きること。"生"そのものを償いとして扱う為にあるんです。


よって、日向さんには死刑ではなく終身刑がふさわしいんです。死刑だともう2度と反省も後悔もしなくてよくなりますからね……


因みに死刑は何のために存在しているのか…ですけど、反省も後悔もしない罪人の為にあるんです。


大抵そういう罪人は自らが生きることにしか興味がないものです。そういう罪人にこそ、死刑がふさわしいんですよ。


現状、死刑が最高の刑罰として位置付けられているのは…重い罪を犯す罪人が得てしてそういう考えを持った者が多かっただけ。少なくともきちんと反省し後悔できる罪人ばかりなら死刑など本来…必要無いんですよ。


被害者が死刑を望むから……確かにそれも一理あるでしょう。同じ被害者でも……死刑を望む方も、そうでない方も居ますからね。


少なくとも主は……日向さんの死を望みはしないでしょう。これは俺の想像ですけど、日向さんが死んだら主…泣くでしょうね。


日向:………イドが……私の死を、望まない………?

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