堕ちた人斬り2

日向:………どうして………。イドが……


(音無は呆然として動けない日向をよそに主を狂わせた敵を切り捨て、主の亡骸に一礼した)


音無:主。仇は取りました…本当は、日向さんにお任せしてたことですけど…どうかお許しください。


日向:………あの時…一人で行かせなければ…………イドは……っ。


私のせいで…イドは……ごめんなさい………ごめんなさい………………!


(少しだけ何かを考えた日向は…ふらふらと自分の刀に歩みより、抜き放った。切っ先を自らの首に添えるが音無に阻止される)


音無:………させませんよ、日向さん。自死なんか。


日向:止めないで…ください。私の判断ミスで…イドを狂わせてしまったんです………


音無:だから何だと言うのですか。


日向:音無さんも私を恨んでいるんでしょう?私のせいで自らの主であるイドを手にかけさせて……


音無:俺が日向さんを?恨む?何言ってるんですか。俺はそんな事で日向さんを恨むつもりはないんです。


ですが……このまま自死するつもりなら俺は、心底軽蔑します。言いたいことも確かに沢山ありますけど…


主の死を悼む気があるのなら、本当に悪いとご自身を責めるなら………生きてください、日向さん。


日向:でも……私は、自分を許せないんです。私のせいで…イドを死なせておきながら自分だけが生き残るなんて。


音無:今の日向さんは…死に逃げようとしているだけです。死ねば辛いことも苦しいことも何も分からなくなるから。


そもそもご自身の死が償いになると本当に思いますか?笑わせないでください。


日向:………なら、死刑とは何のために存在しているのですか?最も重い刑罰じゃないんですか……!


音無:そう、ですね……日向さんは死刑と終身刑、どちらがより重い刑罰(苦痛や恐怖を覚えるか)だと思いますか?


結論から言えば、答えは人それぞれ違います。

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