わんこ君と零2
狼:(人の子が此処に連れてこられて…直ぐの事だったが………)
<零と狼の出会い>
リエル:あのね、わんわんに会わせてあげる!おいで!(零の手を引く)
狼:(…………騒々しいな。何事だ、リエルよ。)
リエル:あのね、新しい子だよ!えっと……お名前はわからないんだって。"きおくそーしつ"かな?
(零はリエルの後ろで震えている。狼の見た目が恐ろしいのか…他に理由があるのか。)
零:………は、はじめまして…?
狼:(名がないのか…奇しくも俺と同じか。人の子よ、もう少し近くに来い、顔をよく見せろ。)
零:(……!?あ、頭の中に…声が……)
リエル:あのね、わんわんって不思議でしょ?お話できるもん!だから全然怖くないもん。
狼:(ふっ……リエルは俺のような犬や狼は苦手だと言っていたからな…)
(どうやら零もリエルと同じく動物が苦手だったらしい、おそるおそる歩み寄る。
狼は零の身体の匂いを嗅いでいる。恐怖からか零の身体は縮こまっている…)
狼:(…………そう怯えるな、人の子よ。俺は無闇に人を喰ったりしない。)
リエル:そうだよ!"わるもの"だったらガブッて噛まれちゃうけどね?
零:(……わるもの…。僕は…脱走して……仕事もせずにいる……。お話している場合じゃ…ないのに。)
(零は無意識に胸元の服を握りしめている。痛みを押さえるためではなく……あえて痛みを感じるように。)
リエル:あのね、だいじょぶ?お顔真っ青だよ。せんせーの所戻る?
零:………は、はい……大丈夫です。でも僕はそろそろ戻ります。失礼します!(逃げるように立ち去った)
リエル:うーん……やっぱりわんわんの事 、怖かったのかな。
狼:(……今の声は……まさか、な……)
(狼はわからないという表情でリエルに頬を擦り寄せた)
<現在>
狼:(…………と、言うことがあってだな。それ以来、見掛ける度に胸元を押さえている…気がする。)
院長:……ふーん。もしかして傷が真新しいのは、しょっちゅう触ってるからかな?やっと合点がいったよ。
狼:(そうだな。キモナシも見ただろう、あの触り方を。まるで……)
院長:自分を律する(罰する)為に、かい?あくまでわんこ君が聞いた声を根拠にしたら……だけどね。
狼:(何故にお前は…己を責めている?何に縛られているのだ。独りで背負い込んでは…崩れるぞ。かつての"彼奴"のように…)
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