うちの子クロスオーバー2
限前零
わんこ君と零1
狼:おい…起きろ、人の子。もう朝だぞ。(鼻で頬をつつく)
零:………う………ん……
狼:(酷い表情<かお>をしおって…)
(狼は胸元に鼻を押し当て匂いを嗅いでいる。奇しくも嗅ぎ慣れた肉の焦げた匂い……そして、真新しい血の匂い。思わず顔をしかめる。)
(…………人の子の過去に何があったか、俺は知る由もない。だが此所に"何があるか"…嫌でも解ってしまうな。それにこの匂い……今もこの傷は……痛みを伴い、人の子を苦しめているのか。時折胸元を押さえているのは………痛みを誤魔化すためか、それとも…)
院長:……どうしたの、わんこ君?いやに気にかけてるじゃない。
狼:"同じ匂い"がする……忌まわしき"柵"の匂い。
院長:……"柵"…ね。
(院長は零の服をそっとめくる。うっすら血が滲んでいる…つい先ほど刻まれたかのようだ。)
……おかしいな。この焼き印を受けたのは随分前だと聞いているんだけど。(バカ弟子がそう言ってたからね…間違いないと思うんだけど)
狼:(その傷は…触れても痛くはないのか?さっき匂いを嗅ぐとき、少し触れてしまった。)
院長:……何だったか。"事情を知らない人間に触れられると耐え難い激痛に苛まれる"と聞いたけど?
(院長は服を戻すとき、意図的にその傷に触れてみた)
零:………うっ…痛………い!
(声を掛けられても目覚めなかった零が跳ね起きた)
狼:(おい……今のって?)
院長:……ごめんね。布団を掛けようとしてその傷に触っちゃったよ。痛かったろう?(バカ弟子の言うとおり……だったね)
零:き…キモナシ様と……狼様……!ごめんなさい、寝過ごしました!失礼します………(慌てて走り去った)
狼:(まただ……またあの傷に触れていた。どういう意味があるんだ?)
院長:また……だって?初めてじゃないのかい?
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