烏の行水

(那智は大急ぎで帰宅するとそのまま風呂に直行したようだ)


那智:(よりにもよって日向さんとの約束の日に鳥糞を喰らうとは……。なにげに連絡先も知らねーし先に風呂入るかな、遅刻は謝るとしてさっさと出よう……)


<20分後>


日向:む………那智君、何やってるんでしょうか。あの日の話ぶりを聞く限り、乗り気ではないと思ってたのですがまさか……すっぽかすつもりでは?


………………心配ですね、迎えに行きましょうか。(来なければ来ないで私も叱られますし、那智君はそこまで我を貫く人ではないですから本当に何かあったのかもしれません)


(日向は那智の家を訪れた。呼び鈴を鳴らすも、家主の応答はなかった)


那智君?居ないのですか?


(立ち去ろうとしたその時、かすかに物音が聞こえた。人の声のようなものも聞こえる)


"…………ひど………………あ……た…

や………れた…………"


那智君!私です、日向です!大丈夫ですか!?


那智:………え?(誰かが玄関のドアを叩いてる………まさか、日向さんが?)


(半裸の那智はあわててドアを開けた。日向は構わず飛び込んできた)


日向:那智君!心配したんですよ!?何やってたんですか?


那智:あ…………ああ、ごめんよ日向さん。(なんで俺ん家の住所知ってんだ……?)


日向:そんなに組織に入るの、嫌なんですか?それにしてもすっぽかすなんて酷いじゃないですか!


那智:すまない……その、そういうんじゃないんだ。帰りしな頭に鳥の糞落とされてさ、みっともねーから慌てて風呂に入ったんだよ。


連絡するすべもなくて……本当ごめん。なるべく早く済ませたかったんだけど……


日向:そう、ですか……


那智:とりあえず一回離れてくれないかな、日向さん。俺もさすがに半裸じゃ寒いから……


日向:うわ……!?まだびしょびしょに濡れてるじゃないですか!風邪引きますよ?


那智:分かった分かった………へっくしょい!(うう……ぬるま湯だったからめちゃくちゃ寒い……)


<1時間後>


キモナシ:…………で?やっと来たと思ったらなんで那智君、ぐったりしてるのかな。


日向:半分私のせいですね。トラブルに見舞われた那智君の家に押し掛けて、湯冷めさせてしまいました。


那智:…………鳥の糞……へっくしょい!


一ノ瀬:はいはい。事情は後で聞くから、那智君はこっちで預かるよ。


日向:お願いします、一ノ瀬さん……

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