異世界の物語3
カランド:……うん、極論を言えばそうかもね。危険思想とは言われたよ。だから休職と精神科受診の命令を同時に貰っちゃってさ……
ね、そういえば君ってお医者さんだよね?腕の良い精神科紹介してくれない?行くつもりはなかったけど、レオン君の紹介なら…………
レオン:ご生憎ながら……外科医の私には心当たりがありませんね。
カランド:……そっかぁ、残念。やっぱり受診の件は踏み倒すとするよ。
(カランドは肩をすくめると薄く笑う)
それに多分、病院に行っただけで通報されちゃうもんね。あっはっは。
レオン:今の私に出来ることと言えば…問診と手術位ですよ。
(カランドの首筋にはメスが突き付けられている。少しでも妙な真似をしたら刺されるだろう)
カランド:…………じゃあ、もしかすると僕の話、聞いてくれるの?だとすればちょっと嬉しいなぁ。
レオン:………良いでしょう。ただし、命乞いや同情誘いは無駄だと知ることです。
カランド:うん、ありがとう。でも……うーん。何から話せば良いんだろう?
順序だてて話すの、結構苦手なんだよねぇ。今までの僕の話で、気になった事はある?
レオン:ふむ……休職と精神科受診の原因、お払い箱の真意、そして…私に会いたかった理由ですね。
カランド:……うん、なるほど。そもそも僕ね、日頃から警察のやり方に不満があったの。
自ら警察に志願して受かったのにね、想像の数倍動きにくいとこだったよ。んで、自分の考えをうっかり漏らしたらさ……聞かれちゃったんだ、上官に。
僕ね、その時こう言ったの。
"法を踏み倒す犯罪者相手に、法を守って戦えなんて割に合わないよ。せっかく逮捕したって、犯罪者は法で護られて生活も保証される。なのに被害者は名前を曝されマトモな生活も送れない。そんな警察の体制……ひいてはそんな司法制度なら、何の抑止力にもならない。世間が犯人殺しに期待しても当然じゃないかな"
………って。多分、僕がレオン君の考えに心酔して言ったと思われたんだと思うよ。だとしても、お払い箱になったのは納得がいかないな。これじゃレオン君と同じ扱いだもんね……
レオン:私と同じ扱いとは?
カランド:あのね、今警察の中でこんな御触れが出てるんだ。
"犯人殺し、黒崎レオンと接触次第即時射殺せよ"
だから今、全刑事は拳銃を携帯しているし見付かったら殺すまで追い掛けてくるだろうね。僕も秘密裏に処分するつもりなんだろう、失敗したけど。
レオン:ちなみに貴方、一応刑事でしたよね?まさか……
カランド:うん。僕のコートに入ってると思うよ、盗られてなければ。
(レオンはコートのポケットに突っ込まれた雑多な物を調べ始めた。程なくして銃弾と拳銃を発見した)
……ああ、それそれ。良かったよ盗られてなくて。悪用されたら大変だから処分しないとなぁ……
どっちみち、僕って銃の試験で落第するほど下手くそだから当てられないんだけど。
レオン:そんな体たらくでよく刑事が勤まりましたね。早々にお払い箱になったのは、ある意味英断だと思い始めました。
カランド:………ううん、辛辣だね。格闘はお手のものなんだけどなぁ、道具を使うのは性に合わないや。
(その発言を聞いたレオンは距離を取ると投擲の構えをする)
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