異世界の物語
?:僕は思うのさ。法を踏み倒す犯罪者相手に…法を守って戦えっての、分に合わないと思うんだ。
それを上官にうっかり漏らしたら…休職と精神科受診の命令を貰っちゃったよ、あはは。
あーあ。警察ってもっと正義の為に越権できると思ってたんだけどなぁ……ちょっと残念。
カランド:……はぁ。世間は"犯人殺し"が英雄視されて、犯罪率も下がってる。警察は自首した犯人をさばくので手一杯。
うーん、そうじゃないんだ。そもそも警察という組織そのものが抑止力にならなきゃいけない。
でも、最近上層部は何か焦ってるみたいだ。
……もちろん、件の犯人殺しはどう足掻いても正当化できないだろう。だが………血眼になって、見付けたら即射殺ってのはどうなのかな?
なーんか、臭うんだよねぇ…まるですぐ処分しないと、自分たちに危機が迫ってるみたいな…そんな雰囲気を感じるんだ。
とにかく、公にお暇を出された哀れな刑事の僕は………裏路地やマフィア街を彷徨くようになった。
……こほん。決して悪に同調しているんじゃない、自分なりに"彼"の手掛かりを捜してみようと思ったのさ。
少し歩くだけでも、噂が漏れ伝う。"姿を見たら最期"だの…
"あの一件以来、頭のネジが飛んだヤバイ奴になった"
"獲物を笑顔で拷問して、最終的には自ら命を絶てない状態の生殺しになる"
どこまで嘘で、どこまで真なのか。一度で良いからお目にかかりたいんだけど……正直、獲物にする基準も拷問(処刑とも言うかな?)のタイミングも分からない。
ただ…僕ら警察の目を掻い潜るとすれば、こうした影の地域だと踏んでるんだけどな。
<朝4時半>
ああ………今日もダメだった。夜中じゅう歩き回ったけど手掛かり無し。
あわよくばその瞬間を見れれば……と言うのは、やっぱり高望みかな?
諦めた僕は、人気のない河川敷にやって来た。懐の煙草に火をつけるとそのまま一服する。
……………ふぅ。
決して人前では吸えないから、明け方のこの時間が一服タイムになる。改めて、自分が置かれている状況について考える事にした。
僕は今、連続殺人犯である黒崎レオンという人物について調べている。世間では"犯人殺し"として知れ渡っているらしい。
刑事として彼の事件データは全て目を通している。手口も、犯人の特徴も多種多様、死亡こそしなかったものの……再起不能になった者も居た。
噂の一部はこの時点で真だと判明するも、それでも鵜呑みにはできない。だってそうだろう?
"一体誰が、事件の詳細を洩らしたのか?"
事件の報道は良くて氏名と犯行現場のみ。手口は機密レベルの扱いで、一般人には知るよしもない。
一般人が唯一知るとして、彼が堕ちた全ての元凶……強姦殺人事件だろうか。
しかし、首都高での一件以来その事件すら情報統制され現在は閲覧すら不可能になっている。
………げふん!
うっ……誰か"居る"。
ただならぬ身のこなし、振り向かずとも分かる………こいつは!
(振り返って顔を見た瞬間、振り下ろされた鉄パイプに撲られて意識を失ってしまったカランド。
"犯人"は満足そうに笑みを浮かべると鉄パイプを投げ捨て立ち去った)
…………どれくらい、闇の中に居たのだろう。僕は………ベッドに寝かされていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。