兄弟共闘

卯月:……落としますよ、兄上。意識を失うのは結構ですが………私の前でだけにしてください。


……動けるようになったら、私に声を掛けなさい。それまでは私一人で持ちこたえます……!


(卯月は受け取った日向の眼鏡をそっと懐に仕舞う)


………さぁ、覚悟なさい。私達に手出しして無事に済むと、思わないでください!


<十数分後>


日向:………うっ……?(何も、見えない……!まさか、眼鏡を落として…?)卯月!何処に居るのですか?


……答えて、ください!


卯月:(…………やっと、目が覚めましたか!想定以上にダメージを……)


(敵の攻撃をかわし、間合いをとる序に日向の元へ駆け寄ると、預かっていた眼鏡を雑に押し付けた)


日向:………!卯月、その傷は………?


(卯月の右眼から、血が流れ落ちている様を見て日向は問い詰めようとする)


卯月:……話は後です。立ちなさい!あれを倒さぬ限り……


日向:分かりました、やりましょう!……後で教えてくださいよ?


(卯月はその問いかけには答えなかった。復活した片割れを背に戦って敵を殲滅し……その場に崩れ落ちた)


卯月:(…………間に合った…。後少し遅ければ、二人ともやられていた……でしょうね…)


日向:卯月、しっかりしてください!傷の具合は……?


卯月:……………不覚を取りました。失明は免れないでしょうね、幸いにも脳へのダメージは避けられたようですが…


日向:この馬鹿!どうして私を置いて撤退しなかったんですか!?利き眼を失うことが…どれ程重大なことか、よく分かって…………!


卯月:逃げられるわけ、無いでしょう……!貴方は私の、たった一人の兄弟です。


もう………家族を失う哀しみを…二度と味わいたく無いんです!私の片眼で貴方が助かるのなら、それで…


日向:………私だって、眼じゃなければそこまで言いませんよ。曲がりなりにも、たった二人の兄弟です。家族を失う哀しみも…痛いほど分かっています。


………でも、どうしてよりにもよって眼を失ってしまったんですか……!眼だけは、移植しても治せないというのに……!

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