ひっぱたかれる神様1

日向:黒之主さん、どうしたのですか?頬に見事な手形がついてますけど。


黒之主:腹が痛むというから心配してやったら、楓に平手打ちを喰らった。何なのだ一体………。


日向:………はい?体調を心配されたのにひ、平手打ちって…そんな本気で怒られたんですか。


黒之主:ああ。解せぬ……悶えて煩いから話をしたらこのザマだ。セクハラだの変態だの…。終いには放っておいてくれときたもんだ。心配しなかったらしないで拗ねる癖にな。


日向:………ああ、なるほど。彼女が不機嫌な理由は分かりましたよ。


黒之主:ほう。さすがに人間同士、容易く理解できたのか。(つまり、我が人間の思考を理解しておらぬだけか…)


日向:いえ、例え同じ人間であっても…男性にこの事案を察する事は難しいと思います。


黒之主:どうみてもお前だって男だろうが。それとも中身は……


日向:違います。私は職業柄、そういう事情も把握しているだけです。


黒之主:………まあいい。訳が分かったなら話せ。このままでは虫が収まらぬ。


日向:いいでしょう。ただし…この件について楓さん本人には不問として頂けますか?


黒之主:………内容次第だ。


日向:これ以上首を突っ込めば、次は平手打ちでは済みませんよ?本気で嫌われるでしょうね…


黒之主:別に人間ごときに嫌われようが…どうでもいいがな。(別に、楓が居なくなろうが……関係ない)


日向:私は忠告しましたからね。


(楓が苦しむ生理現象について必要最低限の説明をする)


大抵、そういう事情は異性に知られたくはないものです。例え親しい間柄であっても…ね。


黒之主:………勘違いするな。我は別に親しくなど…


日向:逆もまた然り…ですよ。楓さんがそう思っててもと捉えてください。とにかく痛みが治まるまで、そっとしてあげてくださいね。


黒之主:ふん。これ以上ひっぱたかれるのも願い下げだからな…(それに、楓の調子が悪いと我の調子も狂うというものだ。出逢って早々は鬱陶しいと思ったものだが、慣れとはある意味恐ろしいものだな)


(黒之主はそのまま楓を残し姿を消した。何処かに出掛けたらしい)


日向:さて…一応楓さんの様子でも伺いましょうかね?無茶はしていないでしょうけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る