ご飯事情とうちの子1
零:食事は作業………早く終えないと叱られる…(何を食べても違う味がするわけでもないから本当に苦痛だ………)
(食事中の零の側を通りかかったイドは隣に座った)
イド:飯?わしもゆっくり食った事無いのぅ…別にづかれる訳ちゃうけど殺られるねが。
日向:(生い立ちを鑑みれば致し方無いでしょうがこれはあんまりですね…)
零:………食事は、苦痛です。なんで食べなきゃダメなんですか?それに…何故皆様、楽しそうなんですか?
イド:ほらまあ、食わな死んでまうけんの…まっこと難儀なこっちゃ。楽しそうな理由やわしかて分からんね。
零:………"生きる"ということは、そんなに大事なことでしょうか。
イド:おまんもそう思うんか………。わしは、己が命に価値はない思うとる。わしが逝ったとて誰ぞなんや思われへんけ。
零:奴隷として使役されるだけならいっそ死んでしまえばと…常々思っていました。
イド:気があうの、兄やん。おまん…名前は?
零:………名前…?えっと………"7233番"です。
イド:なんやそれ………"番号"…やと?
零:………はい。僕たち奴隷に与えられた名前……のようなものです。
イド:ちゃう。んなもん名前やあらへんがな。おとぅやおかぁに貰った名は無いんか?
零:………ありません。僕には親が居ませんから……………。気付いたときにはもう……
イド:……ほうか。かく言うわしの名前かて真名ちゃうけ、なんも言えんが…。
日向:(不幸な生い立ち暴露会になってますよね…。ま、あの零が明け透けに喋ってくれるのはイドのお陰…でしょうか。私では怯えられて話になりませんから…)
零:………おじさん、その足って…?
イド:ん?ああ………過去の柵……よ。
零:………僕のに、そっくり…まさかおじさんも奴隷として?
イド:……手駒っちゅー意味やったらおうとんかの?組織の一員にするため囚人のような管理されとったんや…。
……つか、おまんのはどこにあんね?見えへんが。
(零はそっと胸元を見せた。真新しい傷が露になる)
零:油断すると見られちゃうんでずっと隠してますけど……。おじさんは隠さないんですね。
イド:別に見られようが、支障はあらへん。もう…これの意味を知っとる輩や居れへんけな。
零:羨ましい、です。僕のは見付かったら何をされるか………
日向:(既に雇い主は死亡してるのですけど……"奴隷"制度は未だに健在ですからね…………。)
イド:……わしのように、やり返す訳にもいかんがの…へごもんになっちまうけ。
零:いっそ…迫害されるなら、おじさんみたいに力が欲しいです。やられたらやり返す力が………
そうすればこんなに、怖くないのに…!
イド:……ええか、兄やん。わしの力は…"人殺し"の力や。使い方を誤れば己にふりかかってくる。
人を殺すんは力でも武器でもない、人の想い……なんや。
おまんの気持ちはよう分かる。じゃがな…今のおまんに力を持たせる訳にはいかん。
零:ど、どうして……ですか?前に聞きました、おじさんは人斬り……その力で人を救い……自らも…
イド:んなもんおまけじゃ。わしの本質は…"人殺し"。殺す為だけに剣を振るうて来た。……いかな結果がつこうが人に恨まれわしは…………
(暗い表情になるとため息をつく)
結果としてな…それが引き金となってわしゃ命を落としたんね。
零:そ、そんな………!力があれば、僕だって自由に……
イド:今のおまんは…わしの二の舞になる。遅かれ早かれ…な。
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