第17話 写真から始まる物語
恐らく殆どの人が昔の写真を見て懐かしい、と思ったことがあるだろう。私はまだ二十代である。しかし十年一昔という言葉があるように、十年経てば昔とも言っていいだろう。それ故「昔の写真」を見て懐かしく思ったりすることもある。
昨年末、幸運にも帰省することができた。社会人となってから初めての帰省である。年越し準備も一段落し、ゆっくりとしていた。ふと何か話のネタはないか、と思った時、インターネットで昔行った店の写真が載っていることを思い出した。軽い気持ちで母親にその写真を見せたとき、今まで見たことの無いくらいに驚き、語り始めた。
「こんな写真が残ってるとは驚いた。これはお前が初めておつかいに行った店だよ、懐かしいね・・・」
幼稚園の写真、ショッピングモールの写真、さらにホテルの写真も見せると、それらに関しての思い出話をしてくれた。どれも今はその姿を見ることはできない、ただ写真の中で建っているのみだ。
日々便利さを求めて、猛スピードで色んなものが新しくなっていく。そのこと自体は良いことなのだろう。しかしその代償として慣れ親しんだ景色や建物が消えていく。そんな時代だからこそ、写真の中にあるかつての景色に当時を懐かしむのだろう。そして写真の中でどんなことがあったのか、一つの物語が始まる。
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