第14話 教員として不適切
「実習に関して特に教材には気を付けろ。下手すると生徒を傷つけるぞ。」
教育実習の時、担当の先生から言われたことである。私が授業をする単元は中学3年の公民、人権についてだった。差別の歴史や、救済措置に関しては避けては通れない単元だ。特に人種差別については、生徒の中にマイノリティがいるかもしれないと思って授業を作れ、と厳しく言われた。
物わかりが悪いと叱られることの多い私でも、流石に生徒を傷つける授業など問題外であることは分かった。しかしそれを踏まえつつ生徒の受験に対応する授業をするには・・
・・・答えも出ず、ただ単調な授業になってしまった。担当の先生からは呆れられ、教職担当の教授からはひどいと言われた。
もちろん自分が悪いのは百も承知だし、どういう評価であろうと素直に受け入れるしかないことも分かる。ただ分かりやすく、優しい、生徒を傷つけない授業の方法を編み出すことは出来なかった。だからこそ、私は面白さと優しさのバランスを取りつつ授業を行う先生を素直に尊敬している。
ただ、近頃の教員に関するニュースももちろんだが、SNSを見ていると教員免許を取ろうとしているらしい学生が平然と、しかもあからさまに差別発言をしているのを見る。本人が何を言おうと自由ではあるだろう。が、実習の時、うっかりして生徒を傷つけるようなことになったら・・・・
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