第10話 摩天楼は憂いを受け止め

学校が街中であったため窓の外には建物が並んでいた。・・・と言っても仙台と比べれば小規模であるが。

その中でも一際目立つビルがあった。高さは100メートル近くあったと思う。無機質ながらスマートな外観なそのビルを眺めたり、実際に行って景色を味わったりしたものだ。

中学の時、テストが終わるとそのビルに向かった。最上階の展望室から景色を観るためだ。エレベーターに乗り、ちょっとすると展望室。そこからは街が一望できる。北のNTTタワー、南のラジオ電波塔、人が行き交う繁華街・・・すべて見える。遠くの私の家まで見えるかもしれないと探してみたりもした。

何もかも小さく見えるとともに、私自身の小ささも自覚した。この街ではちっぽけでただ平凡な存在・・・それが私である。

そんな景色を観つつ想いを巡らすと、ああ、テストなんか何とかなるや。小さなことで悩んでられない。どんと行こうか!と思ってしまうのだった。・・・・そしてテストの結果を見てどんよりとしてしまうのであった。

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