第6話 山奥で祈り捧げて
「ドーンって聞いたことない音が鳴ってな、何だと思って空を見たらなにかがぶつかったらしい、というのは分かった」
父親が体験したというある日の出来事である。その出来事とは、全日空機雫石衝突事故。それが起きた瞬間のこと。
全日空機雫石衝突事故とは 1971年7月30日に、自衛隊機と全日空機が衝突し、全日空の乗員・乗客162名の尊い命が失われた事故である。日本では日本航空123便墜落事故に次ぐ大きな航空事故とも言われている。
また、私の友人曰くこんな話を聞いたとのことだ。
「事故の後、小学校の校庭にたくさんの人が刺さっていた。その小学校自体が収容所となっていたがあまりにも悲惨だった・・・」
・・・この事故に関して、慰霊の場所が設けられていており、そこは「慰霊の森」と呼ばれている。事故を伝える看板、お地蔵さん、飛行機が本来向かうはずだった方向を指したモニュメントがあり、事故の凄まじさを伝え、亡くなられた方々を慰めている。
中学校の総合学習の時にそこを訪れたことがある。私が住んでいる所とそう遠くないところでこのようなことがあったのかと驚いた。そして亡くなられた方々に手を合わせ、祈るばかりであった・・・。
現在、慰霊の森をインターネットで調べると心霊スポットだとか、恐ろしい場所だとかという記事を目にする。直接的な関係者では無いものの前述した話を聞いたり、慰霊の森を訪れた私からすると「いかがなものか」と思う。そういった目的で訪れるのではなく、全日空機雫石衝突事故の悲惨さや事故を起こすまいと努力する人たちがいることを知り、そして何より亡くなられた方達へしっかりと手を合わせるために訪れてほしいと思う。
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