第2話 東京からこんばんは
東北地方にはテレビ局が少ない。フジテレビ系の局がないのは青森で、TBS系列の局がないのは秋田県だったと思う。そしてなによりテレビ東京系が東北六県にはないのだ。それ故に、雑誌で面白そうなアニメが放送されると知ってもテレビ東京系、の文字で落胆したものだった。ましてや民放ラジオ局なんてAM局、FM局が一つずつある状態だ。
ある程度の年頃(大体中学や高校だと思う)になるとテレビやラジオの深夜放送に興味を持つ人が多かったと思う。しかし私はというと部屋にテレビを置くことは許されず、なおかつ実家では殆どFMが入らなかったのでAM放送が頼りであった。NHKか民放か・・・選択肢がそれしかなく、番組がつまらないわけではないが何か物足りなさを感じずにはいられなかった。
しかしある日、「夜間ならばAM放送で遠くの局を聞くことができる」という情報を手に入れた。果たして本当なのか、恐る恐る合わせてみると・・・聞こえる!しかも文化放送とか言ってるぞ!東京の放送がここでも聴けるなんて!
今までにない興奮、感動を味わったことを覚えている。テレビの地方格差を幼い頃から感じていたのもあるのだろう。ただ東京のラジオ局が聴ける、楽しめる・・・それだけで当時の私は新しい世界に味を踏み入れたように感じたのだった・・・・。
近頃、AMラジオ局の廃止やFM転換といったことを小耳に挟む。確かに費用面などの問題はあるのだろう。ただ仮に無くなってしまえばあの感動は再び味わうことができなくなってしまうのかな、と少し寂しくなってしまう。
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