暑さの精

勝利だギューちゃん

第1話

俺は、冬が嫌いだ。

俺は太陽電池で動いているようなものなので、

太陽が顔を隠してしまう、冬は嫌いだ。


でも、夏が好きかと言うと、そうでもない。

夏は、太陽が出過ぎて、太陽電池が、オーバーヒートしてしまう。

だから、夏も嫌いだ。


春はどうか?

好きではない。

風が、杉花粉を運んで来てくれる。

いらないのに、運んでくる。

有難迷惑とはこの事だ。

だから、春も嫌いだ。


で、残る秋だが・・・


昔は嫌いだった。

秋には運動会や体育祭がある。

運動が苦手な俺は、負けると決まって責任を押し付けられる。

完全な、足手まといだった。


しかし、大人になり解放された。


以来、秋だけは好きになった。


そんなわけで、暦の上では秋のはずなのに、夏が居座っている。


「だって、いくとこないんだもん」


夏は、だだをこねている。


「もう少しだけいさせて・・・」

「どのくらいだ?」

「12月ごろまで・・・」


ここ数年、暖冬で問題視されているのは、こいつのせいか・・・


「私だけのせいにしないでよ。冬がなまけものなんだもん」

「雪国はあるぞ」

「あそこは、担当者が違う」


公務員なのか、サラリーマンなのか・・・


「ところで、秋はいつくる?」

「あの子?知らない・・・」

「知らないって・・・」


無責任だな・・・


「人間のせいでしょ?」

「責任転嫁かよ」

「否定できる?」

「できません・・・」


恨むぞ、祖先・・・


「仕方ない。秋に連絡してあげるわ」

「ここの担当は、どんな秋だ?」

「待ってね・・・あっ、期待しないほうがいいよ」

「どうして?」

「飽きやすい子だから、秋だけに・・・」


親父ギャグ・・・


「少しは、寒くなった?」

「はい」


でも、親父ギャグで寒くなったら、猛暑で悩まん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

暑さの精 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る