支流(止める決断)
酣:……お待ち下さい、主様!どうか、剣をお納め下さい…!
(日向に向かって音無を振りかぶったイドの前に、両手を広げ立ちはだかった酣。その瞳には、深い決意が宿っている)
イド:くっ…!た、酣よ………そいたぁは…
酣:……申し訳ございません。主様が剣を引かないのであれば…私もここを退くつもりはありません。
エル:貴様っ…我々に恩を売ろうなどとは浅はかにも程があるぞっ!
酣:私は………主様に仕えし従者でございます。この場において、私が日向様の正体に気付いた以上は…
主様の為に、どんな手段を講じても阻止するまでです。
日向:私の、正体……ですって?
エル:諜報部隊の長である日向様に、暴かれるべき正体など存在しない!出任せも大概にしろ!
イド:………ふふっ。えいろう、他ならぬ酣の進言じゃ……聞き入れようぞ。
(表情を緩めたイドは、構えを解くと音無を仕舞う。すかさず兵士に取り押さえられるも一切抵抗する素振りを見せない)
エル:と、とにかく…そいつは地下牢に連行しろ!お前は、事情聴取だ。洗いざらい吐いてもらおう……
日向様、それで構わないですよね?
日向:………あ、はい。私も立ち会います。(どうして、あの時私を助けてくれた彼が近衛に…?)
酣:(危うく、日向様と主様を殺し合わせる所でした。あの時は………まだ名前を存じ上げなかったせいで、こんなにも気付くのが遅くなってしまいました)
……はい。私の知りうる限りでお答えさせていただきます。
使命と魂のリミット 限前零 @rieru_sai
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