イドと双子(番外編4)

<ヌルとエルは日向の命令で人斬りイドを遠巻きに尾行している>


ヌル:………おじさん、真っ裸だね。うー……痛そう…


エル:……服を洗ってるからな。(血塗れでは目立つからか…)まだ新しい傷が見てられねえな……


(イドはヌル達に気付いて酣と音無に拿捕するよう命じた)


エル:な……っ!気付かれた……のか?退くぞ!


ヌル:あのね、待って。エル……早いって!


(急に走り出したので転んでしまう)


酣:音無。もう一方を恃みます……


(酣は転んだヌルに歩み寄ると一礼する)


……ごきげんよう、ヌル様。私達と話しましょう?


ヌル:………あのね、お姉さんはどうして僕の名前を知ってるの?


酣:私は…一度お伺いした名前は忘れませんから。


ヌル:………?(はじめて、だよね?)


<音無とエルはその頃…>


音無:待ってください!お話が………


エル:断る!捕らわれてたまるか!


音無:あの。そもそも相方さんは転んでしまって姉さんに捕まりましたけど。


エル:……何だと!?ちくしょう、ヌルを返しやがれ!


(ヌルが捕まったと知り、踵を返して音無に殴りかかる)


音無:うわわわっ!?落ち着いてくださいって!いたたた!(闘うなって…無茶だよ主……)


(堪らず音無は逃げ出した)


エル:逃げるな!居場所を吐け!


ヌル:………?誰か…走ってくる。


酣:あれは……音無!?(どうして逃げてるんですか?)


音無:姉さん、助けてください!いたたた、殴らないで!話がしたいだけですから!


(音無はそのまま組伏せられてボコボコに殴られている…側にヌルが居るのに目に入らないらしい)


イド:はぁ。何しょるが音無……?そろうどがいにすなと言うたが……んで張りまわされてんねが?


ヌル:あのね、エルやり過ぎ。


エル:ヌル!無事か!?捕まったって……


ヌル:置いてけぼり、ひどい。でもお兄さんボコボコにするの…もっとひどい。せんせーも言ってた、手出しはだめって。


エル:……す、すまん。とにかく無事で良かった……


酣:(音無………災難でしたね。大丈夫ですか?)


音無:(うう……本気で痛かった…。素手なのに…)


イド:さて…何でわしを尾けた?怒らへんから訳を吐きとおせ。


ヌル:………あのね、ほんとに怒らない?ぜったい?


エル:ヌル!バラすなよ……"極秘任務"だぞ?


イド:隠しだてするなら力ずくで聞くど。そもそも全く伏せる気なんか無かったやろうが……(撒いても良かったんじゃが…)


ヌル:あのね、せんせーが気になるって。ひどい傷だらけでほんとに死なないのか……あと、えっと……何だっけ?


エル:………可能なら根城から何から暴いてこい、と。


イド:なら、堂々ととぎしとおせ。今更隠しだてする事はあらへん……


ヌル:あのね、おじさん……せめて前は隠して?真っ裸。


(水で濡れた服を身に纏う)


イド:………!こらすまなんだ。血塗れやけ洗いよってん……忘れとった。


音無:頼むのでそれだけは忘れないでくださいって……(露出で捕まっちゃうよ…)

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