支流1
イド:ちょい、そこの兄やん。日向っちゅー輩の、居場所教えてくれんか?
(背後から剣を首に突きつけている)
リエル:……ひっ……!?(こ……怖いよ…誰か助けて………でもせんせーはだめ…この人が捜してる………)
(リエルは恐怖からその場で気絶してしまった。すんでの所でイドに抱えられた…)
イド:あ、兄やん………すまんのぅ。そげに脅かしたつもりはなかったんじゃが……どうしたもんかの。例え敵であっても獲物でもない兄やんを見棄てるんは性に合わんが。誰ぞ来んかのぅ…?
日向:そこで、何をしているんです?
イド:……!(誰ぞ来んかと言うたが……獲物が来るとは思わんが。捜す手間省いたと思うかの…)
日向:彼を、放して頂けますか?
イド:お、おん。この兄やんに用立てもあらへんけな…
(静かにリエルを降ろすと後ずさる)
日向:(意識を失っていますが、外傷が見当たらない辺り…手荒な真似はしていないと…。倒れた形跡もありませんね。良かったです…)
イド:(背中向けてもうた…不意討ちすんなら今じゃが……生憎卑怯な手は好まん。待つかの…)
日向:(やはり…手を出そうともしない。人斬りと言えど、その力は己が信じる正義のもとに……ですか。変わりませんね、私を救ってくれたあの日から……)
………参りましょうか。此方へどうぞ。
イド:わーった。行こか。
(修練場にて)
日向:少々お待ちを。彼を休ませて参ります。
イド:………おん。
(ここは何処じゃろか………無駄にだだっ広い部屋じゃの。誰や居れへんしつまらんのぅ。)
(水差しの酒を呑んだ時、獲物は部下らしき青年を連れて現れた)
エル:……正気ですか、師匠。この俺に立会人になれって……
日向:むしろ貴方にしか頼めないのですよ、エル。あまり明るみになっては困る案件ですから……
エル:……当然でしょう!わざわざ命を奪いに来た輩と手合わせするなんて……。しかも俺は手出し無用と言われて…黙って殺られる気ですか?
日向:………ふむ、まさかこの私が…敗けるとお思いですか?
エル:絶対とは……断言は出来ないかと。その…人間である以上は。
日向:ふふ。心配性なエルらしいと言いますか……
エル:それに……仮に師匠が倒されたとき、奴がどう動くのか。
……正直、俺らが束になって掛かる程度で倒せるような実力なのかも疑問です。とてもそうは思えませんし…
日向:………とにかく、頼みましたよ?あまり客人を待たせるわけにも参りませんからね。
エル:……し、師匠…!(いざとなったら、ヌルだけでも護る。俺の命に代えても………)
日向:………さて、本題に入りましょうか…。噂はかねがね耳にしておりますよ、人斬りのイド。
イド:わしんこと、知っちょったがか……。ほならわしの用も分かるんやの。
日向:そうですね。誰に依頼されたかはともかく……私を消すように言われて此処へ来た、間違いありませんか?
イド:………いかにも。おまんにゃ私怨はあらへんが…わしの獲物である以上見逃す気もあらへん。
(酣を引き抜くと構えた)
日向:………良いでしょう。手合わせの前に、いくつか私からお願いを。
イド:えいろう、聞いちゃる。
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