源流5

イド:(鈍いやっちゃな………ほれとも、知っとって無視か?んま、あいたぁが近衛の輩っちゅーんはわしかて知らなんだ。ほんまに雑兵に興味があらへんけな……)


(日向は物陰から出ると詰め寄る)


日向:ちょっと……貴方達?今の発言は聞き捨てなりませんね。


男2:……へ?な……何であんたが此処に……


男1:……ど、何処から聞いて……


日向:お咎めが…の件から、全てです。だからこそ聞いているんです、どういう事かと…!


イド:(ほんまに知らなんだんかい。工作員の件は知らんでもあいたぁの事は調べとる思たがな。)


男1:……ちっ。バレちゃしゃーないか…俺等で引導を叩き付けてやるぞ。


男2……知らなけりゃ…幸せだったのにな。死ね!


(二人は懐から銃を取り出すと狙いを定めず乱射する)


日向:……くっ…!そ…その銃は……(近衛部隊は確か、全員所持している銃……!

……刀で銃相手に立ち回るのは、圧倒的に不利………何か、無いでしょうか………?)


(考え込んで動きが鈍った日向の腹部を銃弾が貫通してしまい、その場で動けなくなった)


男1:良いねぇ、銃ってのは。距離を詰めなくても当たる。巧くいきゃ即死。最高だ!


日向:…うう……っ。完全に、不覚をとりましたね………(下手に動けば失血死は免れない。かといって戦わなければ…なぶり殺しですか……)


イド:てんごうも、大概にしちょけ。銃は……おまんらにゃ過ぎた玩具や。


男2:てめっ……まだしぶとく生きてやがったのか!


イド:あ?勝手に殺すなや。ま…相討ち狙たんは残念じゃったの。そこまで短絡的な輩やなかった。わしも…そこの長もな。


日向:……に……逃げなさい…!銃を相手に立ち回るのは……


イド:銃弾かて…当たらなただの豆鉄砲じゃき。獲物相手に逃げるんはわしの主義に反する。かつて序列一位に君臨した人斬りの……裁きを見ちょれ。


男1:相変わらず口の減らねぇ野郎が!共に死ねや!


(2名は銃を乱射し始めた。イドは音無を引き抜くと、飛んでくる弾を切り捨てる)


イド:こげに大きい的じゃに当てれんか!?その目はとんだ節穴か、おまんらは!


男2:……う、嘘だろ……何で突っ込んで来るんだよ……恐怖とか…ねーのかよ……?


(イドは懐に飛び込み、2名を切り捨てる)


イド:はっ。恐怖…痛み………?んなもん…とうの昔に棄てたが。

(死を厭わんようになって…痛みは無くなり、同じ頃…恐怖ものうなった。過去の"過ち"の重さに比べりゃわしの痛みや恐怖なんぞ…屁でもあらへんけな……)

………案内せぇ。おまんの"本拠地"にの。


日向:……い…一体何を………?


イド:手負いで動けんのじゃろ。よもやわしの助太刀を期待して止まった訳やあるまいて。連れ帰っちゃ。


日向:それはそうですが…貴方だって傷が………そんな体調で私を背負っていく距離では無いですよ?


イド:選択肢はあらへんで。


(戸惑う日向の首筋に音無を突き付ける)


……あいたぁのせいでおまんが逝ったら……わしゃ許さんへんで。わしの前ではへごもんの思うとおりにゃさせへん。わーったら大人しゅう案内せぇ。


日向:(気のせいか、村を出たときより体調は良さそうなんですけども…それでも近くはないですし……)分かりました。くれぐれも無理はしないでください。


イド:(やっとこさ"不意の極み"が効いたわい。こいたぁ連れてくだけならどないかなりそうじゃの。

……ただ…傷が開いてもうたけ、しゃんしゃん行かなバレるの。) 


酣:(私が具現化出来ていないのに"不意の極み"を使えたのは"弱味を見せない"主様のやせ我慢…。どうか、日向様を送り届けるまで間に合って…)

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