源流2
イド:(近衛序列一位のわしじゃが……別に諜報を目の敵に思うこた無かった。"組織"の立場や考えには否定も肯定もせなんだ。"合法的に人斬りに携わる"以外、用立てはあらへんからな…
もしほんまに、諜報が偉い手までへごの集いなら……………いや、止すか。例えそうじゃったとて…わしゃ近衛として動くつもりはあらへん。己に降りかかる火の粉を…払うだけじゃ。
近衛部隊の序列一位になったんも…結果論じゃ。組織の獲物とわしの獲物の基準が合致しただけ…最近は近衛そのものの噂も良うないもんが多い……このままでは…またわしは、過ちを繰り返しかねんか…)
(村から街道に出て少し進むとイドは足を止めた)
酣:(主様。お気づきでしょうが…背後に3名。うち2名は……)
イド:(ああ、この前の雑兵じゃの。じゃがもう一匹は……手練れな気配じゃ。偉い手じゃろか…)
日向:貴方ですか、部下に手を出した流浪人とは。
イド:だったら……何じゃ?わざわざそげな用で偉い手が出張るたぁ……諜報も所詮…へごの集いじゃったか。
男1:口の減らねぇ野郎が!吠え面かくなよ!
男2:"諜報"の恐ろしさ、思い知れ!
イド:しわい。負け犬が吼えんなや。しょーもない…
日向:貴方達、そこまでになさい。後は私が処理しますから退きなさい。
男2:……え、で…でも……
日向:はっきり言って足手まといです。それとも巻き込まれて逝きたいのですか?
男1&2:……ひっ…申し訳ありません!(あわてて立ち去る)
イド:ほぅ。"巻き込まれて"とは…大きゅう出おったの。
日向:貴方相手に彼等を庇いながら戦うのは難しいと判断しただけです。(それに……推察が当たっていれば彼は……)
イド:伊達に諜報の偉い手をしとらんか。敵ながら妥当な選択じゃの。
日向:念のために伺います。何故私の部下に手を?
イド:おまん…あいたぁから何ぞ聞いとらんがか?(あいたぁに聞いて尚わざわざわしにゃ聞けへんか……)
日向:いえ、何も。無様に貴方にやられたと言われた以外は。近衛部隊の人間に理由を伺うのは愚問かと思いますけど………
イド:ちょい待ち。わしゃ…名乗った覚えはあらへんが。なんでわしが近衛の者と知っとんじゃ。ほれに…わしが近衛と知れとるなら悠長に構えすぎとちゃうんか?
日向:諜報を舐めないでいただけますか。何の下調べもなく、この私がノコノコと現れたとお思いですか?
……貴方が近衛暗殺部隊、序列一位の人斬りイドだとは存じ上げています。だからこそ私が自ら出ました。彼等では手も足も出ないでしょう…実際あっさりと退けられましたし。
ですが…どう考えても、貴方の行動は矛盾している。それを確かめるまでは…私は処遇を決めかねると思いまして。
イド:わしの行動が、矛盾しとる?わしゃ、そげに変なことしとんかの。
日向:当然でしょう。近衛が諜報に手を出しながら…殺しもせず逃がした。普通ではあり得ない行動です。序列一位なら尚更…
イド:(下手に明かせば、村の者が狙われるやも知れんか………)わしゃ近衛に居ったが…その思想に否定も肯定もせなんだ。ほなけん…諜報を目の敵に思うこた無い。
ただ食って掛かったんは…ぞうくそ悪かっただけじゃ。
日向:そこについて、明かしてはくれないんですか。
イド:そげに気になるんじゃったら、あいたぁに聞けや。別にわしが言う義理もあらへんやろ。
日向:そうですか、ならば…私は貴方を捕らえることになりますね。例え目の敵にされなくとも、正当な理由なく手を出されたとあっては…"政府"への反逆ですから。
イド:ほうか。ならわしは……
(酒を飲むと酣を構えた)
むざむざ捕まる気はあらへんからな…"反逆者"らしく逃げるとするかの。
日向:(そこまで明かすことを拒まれるとは思いませんでした。それに…"逃げる"とは………)よろしい。諜報の意地をもって、貴方を捕らえます。
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