イドと剣精9(秘めたる力)
イド:別に隠すつもりやあらへんかったんじゃが…わしは元々、格闘の使い手じゃ。ほなけん………格闘で勝負を挑む!
音無:正直、刀相手に格闘で来るとは……分かりました。俺を、打ち負かしてください。
(イドはしゃがみこむと酒を飲む。)
音無:来ないなら、俺から参ります。弐速、背面刀技。
イド:速度を上げただけでは、わしにゃ当たらんが!緋影!
(すんでの所でかわすと技の切れ目に背後から足払いを喰らわせた)
音無:うっ……!?いつの間に距離を………
(音無は牽制しつつ立ち上がるが、イドの姿を見失った。)
……す、姿が………(気配も無い…?確かにさっきまで感じていたのに…)
イド:わしならここじゃ、音無よ。真後ろじゃき。
音無:……しまった……!背後をとられ…!
(豪快な投げ技が決まり、音無は刀を手放してしまった)
……い……いたた……この俺が、自らの分身を手放すとは……
イド:止めじゃ。真空!
(手を振ると鎌鼬が起こり、まともに受けた音無の体力は尽きた)
………はぁ…はぁ……
20年ぶりじゃが…やはり刀剣よりはやり善いが。
音無:参りました。まさか、格闘で俺を打ち負かすとは……
イド:すまなんだ。できりゃ剣士としておまんを倒したかったんじゃがな…思た以上に強かったが。
音無:知りませんでした。主の戦う姿は…刀剣だけしか見たことがなかったので。
イド:……まぁ…の。酣と出会てから刀剣だけで戦うちょったけぇ、知らんのは当然じゃ。
音無:……でも、20年ぶりって……
イド:ほうじゃ。酣と出会うた時、わしが人斬りになったときぶりじゃけ、ちいと鈍っとるか思たが。
音無:とにかく、これで盟約は結ばれました。俺は…力を託します。格闘で。
イド:格闘、じゃと?おまん…剣精じゃろうて。
音無:確かに俺は剣精ですが、主の戦いに合わせて、剣にも人形にもなれるんですよ。
示された力に相応しい状態に。
イド:ちなみに、昔みたいにおまんを鞘から引っこ抜いたらどうなるんじゃ?
音無:普通は抜けませんが、抜いて戦うなら前と同じで主に負担を強いることにはなるでしょうね。できれば控えて欲しいんですけど。
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