イドと日向6(喪失と焦り)

イド:……音無!


(夢から覚めたイドは跳ね起きる)


……ゆ……夢か…(気のせいか、音無がおらんようになってから身体が楽になったのぅ………まさか、な…)


日向:イド。具合はどうですか?顔色は前より良さそうですけど。


イド:……日向。……わしなら、大丈夫じゃ。ちぃと…寝過ぎた。


日向:待ちなさい。まだ動いては身体に障ります。酣さんも実体を失っているというのに…


イド:……ほぅじゃ、酣………おまんなら居れるじゃろ?なんで出んのや……わしを…独りにせんでくれ……


(無理やり立ち上がろうとするが身体に力が入らない…)


日向:お忘れですか?酣さんが実体を保てないということは…貴方の具合の悪さの指針だ………教えてくれたのは、イド。他ならぬ貴方です。ならば今は…休んでください。


イド:ほなけんど、わしにゃ時間があらへんのや………酣が居ったら今すぐにでも出るんじゃが………


日向:イド。貴方が何を焦っているのかは存じませんが…少なくともその身体で行動を起こすつもりなら、医師として阻止させていただきます。


イド:……後生じゃ…止めんでくれ日向よ………音無を……追うんじゃ………!


日向:(イドの性分を鑑みれば…一方的に制止しても聞き入れるとは思っていませんでしたが。最悪、実力行使でしょうか…)

そういえばイドは、ずっと音無さんを呼んでますけど……何かありましたか?


イド:音無はな…わしの前から………消えてもうたんじゃ……っ…!


日向:音無さんが………消えた……?(姿を見掛けないと思ってはいたんですけど……まさか、そんな事とは…)その、物理的に破壊され剣精としての命を失った…とかですか?

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