イドと剣精4(別れ)

イド:……?なんじゃ……っ


(突然イドは膝から崩れ落ちた)


酣:……!!主様、しっかりなさってください…


音無:(もう……限界か。このままでは本当に主が……)遊宴姉さん。主を恃みます。俺は………戻ります。始まりの地に。


酣:そう。分かった。


イド:……音……無…?おまん…何処に………?


音無:主。また逢いましょう。次こそは…俺と盟約を……交わし………て

(音無は哀しげな笑みを浮かべると転移した)


酣:私達は、日向様の元に戻りましょうか。その身体では……


イド:……断る。


酣:主様?まさか…


イド:わしゃ、音無を追うで。何も言わんと姿を消しおって……っ…


酣:追うって……主様、覚えていらっしゃるのですか?音無と出逢った始まりの地を……


イド:いんや、覚えちょらん。じゃが………あげな顔の音無、初めて見たんじゃ。直ぐにでも追いたいんじゃ……


酣:主様。お気持ちは分かります。それでも先ずは……日向様の元に行きましょう?事情を説明しないと………

……いきなり主様が居なくなれば、日向様にも悲しい思いをさせてしまうのですよ。


イド:そうか…今のわしと同じなんか…


酣:ちなみに、歩けますか?顔色が悪いです…


イド:歩けるかどうかやあらへん、歩かにゃならんね………


(言葉とは裏腹に、身体は動かないようだ)


酣:(普段の私なら、憑依して連れ帰るのですが…今回ばかりは、主様の意思を尊重しましょうか。)

………肩に掴まって下さい。日向様の所迄御送りします。


イド:おお、すまんの酣よ……

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