音無:主。俺は別に踏ん張ってた訳じゃないんですけど…

イド:……？どういう意味じゃ、それ…………

酣:そういえば、主様は初めて音無を引き抜いた時もそうだったのでご存じ無いんですか…。

音無:剣精の宿る刀剣は、盟約で縛られているので、契約できていない人には本来抜き放てないんです。

イド:ほなさっき、酣はなんで抜けたんじゃ？あっさり抜けたで？

酣:私は既に主様にお仕えする身。相手を油断させるため、あえて抜かれました。

主様と盟約を結んでいれば、剣精自身の意思で、ある程度自由に動けるんですよ。

音無:主が俺を引き抜いて戦う今の状況だけが異質なんですよ。

イド:ほな、さっきの雑兵みたいに抜けんのが普通っちゅー訳か…

(イドは雑作もなく音無を引き抜いた。錆びてぼろぼろの刀身は鈍く光輝く…)

……どげに手入れやってもあかなんだんは…"盟約"のせいなんか。そもそも抜けへんたぁ…けったいなこっちゃ。

……のぅ、音無よ。わしゃ今からでもおまんの盟約…受けられんじゃろか。剣士としてこのままおまんを使うんは忍びないんじゃが。

初見より痛んどる気もするけぇ…

音無:……主。それは………

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