イドと日向(酣が見たこと)
イド:……くっ………?ちいと…目眩がするのぅ。急所は避けて受けたんじゃがな…ちょい休もうかの。
酣:主様?そのまま休むと血が………。仕方ないですね、僭越ながら私が連れて帰りますか。
(首に傷を負ってでも戦うのは昔から変わらないんですけど…今はもう、一人じゃ無いんですよ?日向様がいらっしゃるんですから……あまり無茶な戦いは、避けて下さいよ……)
………戻りました、日向様。事情は後でお話しますから…主様を…………お助けください…
日向:た、酣さん?貴方が出向くなんて………!?(この傷は………刀傷?イドが避け損ねたんでしょうか。とにかく塞がないと出血量が……)
酣:(やはり、危なかったんですね。主様にはとっぷり説教してやってくださいませ。)
イド:!?こ………ここ何処じゃ?確か目眩がしたけん、木陰で寝よ思てん……。(瞬間移動でも会得したんやろか?)
日向:……今、何とおっしゃいましたか?
イド:あ、ひ…日向…………?なんでおまんが此処に………
日向:酣さんが連れ戻してくれましたよ。それより……その傷の出来た経緯を詳しく説明して頂きましょうか………?
イド:そ、そげに怖い顔すなって……ちと雑魚に背後取られたけ強行突破しただけやがな……(なるたけ知られとうなかったんじゃが…)
日向:ふむ。そういえば目撃者の酣さんに聞けば良かったんでした。イドと違って誤魔化しませんし。
………勿論、呼んで下さいますよね?
イド:(正直酣が何を話すや分からんけ、おとろしいんじゃが……しゃあないか…)わーった、ちょい待ち。
酣:御呼びでしょうか?主様、日向様。
日向:ええ。先ほど聞き損ねた、イドの怪我についてお聞かせ願います。本人に聞くより正確に教えてくれそうですので。
酣:分かりました。主様は………
(背後からイドの首筋に刀を突き付ける)
背後を取られ、【命が惜しければ……様から手を引け】と言われました。ですが……あろうことか主様は、傷を負うことを厭わず、背後の雑兵を切り捨てました。
……傷を負って帰途につく途中…出血の影響なのでしょうか。目眩がするからと座り込んでしまって。見かねて私が連れて戻りました。
………私が身体に憑依していると、体力を削るので…あまり使いたくなかったのですが。
【残念じゃったのぅ。わしゃ…己が命を取引の材料にされようが……何や思わんがじゃ。こげな命、何の価値もない…
使命を果たせば、尽きる命。己が物でないもんに、執着などせんわ。】
雑兵を切り捨てた際、そう言ってましたね。ええと、ご参考迄に。
イド:ちょい、酣や…そりゃ言わんでええがや。ややこしなるやんけ。
日向:ちょっと、待ちなさい。それ…………まさか、本心ですか?
酣:本心、ですよ、日向様。今に始まった事ではありませんけど。
(一番明かされたくない話をされてしまい、イドは頭を抱えた)
日向:本当に…貴方と言う人は!たとえ使命を果たせば尽きる命であっても……其所に至る人生は………紛れもなく貴方自身のものです!
それに…この私が付いていながら、みすみす死なせるとお思いですか?
………私は確かに、貴方の来歴を存じません。なので…本来筋違いな事を説教しているのかも知れません。それでも……自分の命に価値がないなんて…言わないでください。
例え使命を果たすためであっても、私のように…救われた者が居る。それは紛れもない、事実なんです……
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