イドと日向(番外編2)

イド………おまん…………それ、わしに聞かせるつもりで言よんか?けったいな告白じゃのぅ…


それとも、わしが寝とると思たか?大概おまんがわしを枕にしとるとき、起きとるで。


日向………!?なっ…違います!貴方が時折咳をしてるので気になって確認していたんです!断じて眠ってなど……。そもそも起きてたなら、声を掛けてくだされば……(まさか…全ての独り言を聞かれていたとは……)


イド……わしゃ一度声掛けたがな。おまん何や反応せなんだやんけ。ほなけん寝とる思たんやがなぁ…


日向………え。そ、そんな筈は………(全く記憶に無いんですけど…)


イド……(やっぱ寝とったな…この反応じゃ。)そげにわしの寝心地は良かったんかのぅ…?


日向………ち……茶化さないで下さい。寝ている間を狙って来ているのにこれじゃやり直しですね……


イド……おまんまさか………それ夜這いでもするつもりけ?言い方が不穏過ぎるんじゃが。


日向………違います。安静にしている時に確認するのが鉄則なので。


イド……なら別に完璧に寝とる必要無いんとちゃうんか?大人しゅうしとるで?


日向………"無意識"であるのも大事なんですよ。変に意識すると却って症状が出なくなったりすることがあるので。


イド……難儀なこっちゃ。そもそもわし、人前じゃあんま寝れんのじゃがな…

じゃけん、打ち合いの後や薬貰た時以外……ほとんど熟睡しとらんで。ま、人斬りを生業としとるけ…なかなか変えれんのじゃが。


日向………じゃ、じゃあ………あれは…極論を言えば寝たふりだと?(この私が寝ているか否か、区別がつかないなど……)


イド……人の気配ですぐ目が覚めるんや。そのまま気配を伺うけ、半分正解じゃの。さすがにおまんの独り言を聞いたときはたまげたけんど。


日向………だって…脈も呼吸数も…全く変化しなかったんですが。それすら操れるとでも?


イド……おん、でけるで。そもそも不意の極みを会得した輩が動揺を筒抜けにするこたほぼないで。己の動揺が筒抜けじゃと、それが隙となって殺られる事やってあんねん。

目に見える動きだけちゃう。本来どうもできん中身すらも欺くのが…"不意"の真髄じゃの。


日向………(正直、ここまで完璧に欺かれたとは思いませんでした。下手すれば病状さえ、彼は隠せるでしょう…)


イド……ま、それでも……わしの具合の悪さを簡単に見極める方法はあるで。例えば刀剣を持っとらん時。普段から常に剣だけは腰に下げちょるが…


その剣すら下げちょらん…若しくは持っとった剣が急に消えた時は、ほぼ倒れかけや。わしの体力を吸いながら使うちょるけぇ、一番分かり良いんじゃ。


それから…わしが降参する時。僅かでも勝てる望みがありゃわしは絶対降参やせえへんけん。そのわしが諦めるってこた……分かるな?

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