イドと日向(番外編)

日向:イド。ちょっとこっちに来なさい。


イド:どげんした、日向?(目が座っちょる…)


(日向は無言で押し倒す)


イド:……ちょ…ひ、日向………?おまん、一体何を……!


日向:良いから、服を脱ぎなさいな。


イド:……!?日向おまん…………"ばっかす"でも呑んだんか…………?


日向:いえ、私は至って正気ですよ。なのでつべこべ言わず脱ぎなさい。


イド:……お、おう…(こんな目の時の日向はおとろしいけの…でも何でじゃ?)


(合点がいかない顔をしながらイドは服を脱いだ…)


日向:……イド、この傷はいつ受けたんですか?


イド:傷……じゃと?妙じゃの。日向も知っとるじゃろ?今の時期酒を止められちょるけぇ、手負いになるわけ無いんじゃがの……


日向:……え。じゃ………じゃあその傷、いつ受けたかわからないんですか!?また隠してたんでしょう!


イド:ちょい、落ち着かんか日向…


日向:大体貴方という人は…自分だけの身体じゃないと何度言えば……!


イド:(しもうた……こりゃ長なるのぅ……………?なんじゃ……別んとこが痛む……こりゃまさか……)

ちょい、待ってくれんか。別に伏せとった訳ちゃうで。


日向:……?ならば説明願いましょうか。


イド:その前に、わしの左の背中、見てくれんか?こっちにも多分…傷があるはずじゃ。


日向:………左の背中?あれ…確かにこちらも。(さっきの立ち居振舞いを見る限り、脇腹だけだと思ったのですが…)


イド:この傷はな…20年前の古傷なんじゃ。ほなけん別に伏せとった訳ちゃう。…ただ気ぃついたらその2ヶ所の傷が開いとる事がままあるんじゃ。


日向:気ぃついたらって……気付かなかったんですか?さっきの鍛練中、脇腹を庇うような動きをしてましたけど。


イド:それ、ほんまか?酒呑まんと剣舞の鍛練しよったけんか全然動きがわからなんだ。そのせいとちゃうんか?


日向:動きはそうなのかもしれません。じゃなくてですね…痛みは無かったんですか?


イド:ああ、脇腹の方はな。背中は今痛なって気ぃついたんや。


日向:それ、いつもなんですか?痛みがなければ傷が開いたままって事も………


イド:んー………どうじゃったろうか。数年ぶりじゃけ、忘れてもうた。


日向:(そう言えばイドは自分の事には無頓着でしたもんね…仕方ないと言えば仕方ないですか…)


イド:しかし、いつ見よったんじゃ?鍛練中には誰の気配も感じなんだんじゃが。

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