僧兵さんのまね

リエル:………なんで…だろ………?さっきから…調子悪い……着替えるのも…しんどい…


(更衣室で着替えていたリエルは僧兵の服のまま気絶した)


先生:…リエル?居るんですか……って。大丈夫ですか?起きてください!


リエル:無闘…………決意……

誇り………?

拒絶…………全てを………

鏡の………


(無意識に何かを詠唱している……)


先生:…リエルが……エーテルを

"詠唱"…している…?

(まさか…そんな事って。

エーテルを拒絶したのは、

他ならぬリエル自身なのに…)


リエル:…ボース…ト……

……デス………ペル……!


(エーテルの詠唱が完成したのか、体力と魔力が急激に減ったようだ)


先生:……何も……起きない…?

(妙…ですね。確かに今…

詠唱が完成して、何かのエーテルが

放たれたはず…ですが…)


……っと、観察してる場合じゃありませんでしたね。取り急ぎ連れて帰らないと。


リエル:……解き………放て…

受けし…………全て………?


先生:……!まだ詠唱が止まっていない……


(エーテルガードを取り付ける)


体調不良の原因は…おそらくエーテルの使いすぎによる身体への負担でしょう。しばらく様子見ですね…


(気絶して1日経過)


リエル:………?ここ…どこ……?

そーへー…さんは?


先生:あ……目が覚めましたか?更衣室で気絶してたんですけど。


リエル:あ……思い出した…

お着替えしようとして…調子…悪くなったんだ……


先生:ふむ…色々聞きたい事がありますけど…具合はどうですか?


リエル:……起き…上がれないの。

頭も痛いし……めまいも………なんで?


先生:(明らかにこれは…エーテルの使いすぎの時の症状…かつてのイドと同じ…)多分…疲れすぎたんでしょう。

倒れる前、一体何を…?


リエル:えと…そーへーさんの所で遊んでたの。服着て…見よう見まねで呪文?唱えてみたり……


先生:そーへー…ああ、僧兵ですか。珍しいですね。リエルが他者に興味を示してるの…初めて見たような。


リエル:あのね、呪文唱えてる姿が…かっこ良かった。

…あ!そうだ、僧兵さんの服着たらね、ちょっとだけ…僧兵さんの真似できたんだ!


先生:真似できた…とは?まさか…エーテルが使えた…とか?(嬉しそうな様子は微笑ましいのですが……)


リエル:エーテル?よく分からないけどね、

えーっと……

我が神よ…深き慈愛をもって、傷付きし者を癒したまえ。


(回復効果発動)


清らかな心を我が盾とし…全ての悪しき攻撃を……退けたまえ。


(防御発動)


ってのが使えたの!服のおかげかな?


先生:…!?(なんと…あの無意識の詠唱は僧兵の影響だったとは。)す、凄いですね。


リエル:う……ん…。だけどね?何故か呪文唱える度に…調子悪くなるの…他の呪文は何にも起きない代わりに…なんともなかったけど。


先生:うーむ…それは普通かと。本来彼らは体力を少しずつ使いながら、それらの呪文を放っています。リエルは見よう見まねで、使う力の加減ができていないので調子が悪くなるんですよ?


リエル:あのね、納得。僧兵さんたち…凄いんだね。


先生:とりあえず…しばらく休んでください。身体を酷使したせいで更なる体調不良を併発しかねないので。


リエル:…うん、わかった……

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