守護者は天使か悪魔か
先生:最初の頃の話を蒸し返しますけど…何故あの時、相討ちを狙わなかったんですか?地下水道で出会った時です。
イド:………うーん。微妙に返答に詰まる内容だ………(やっぱり信じて無かったんだな)
先生:何気にイドって…人に興味がないと言いつつ、4回も他人を救っているんですよね。
私の時、エリィの時、プリムの時にマリアの時。
イド:よく覚えてるな、先生。わざわざ数えてたのかよ……(俺でもそんなしっかり覚えてないぞ)
先生:…それは、目の前で見てますから…全部。(偶然なのか必然なのかはともかくですが……)
イド:あ…そうか。
先生:なんでしょう…卑怯な手は使わないと言いますか。
イド:あー…なるほど。確かにな。多分それは………バトラーのせいだ。連中の言動が胸糞過ぎてさ。無意識であーなりたくないと拒絶してるんだろうな。リエルが。
先生:え………リエルが…ですか?イドが主導権を握っていれば影響は無いのでは…。
イド:俺は人を殺ることに快楽を感じ…目の前で誰かが逝こうが何も思わねえ。当然ながら先生が不思議がる通り…俺自身の考えじゃねえ。
だけど…いくら主導権を握っていようがあくまでリエルの身体だ。ほら…リエルが暴走したの、覚えてるか?
先生:え…ええ。確かあの時、イドは制御出来なかったんですよね。掌握できない記憶もあったと…
イド:そうだ。まあ俺自身の暴走の後でもあったからあれだが……
元来、リエルは…やられてもやり返せなかった。絶対に手を出さないと決意してた。それが…俺が主導権を握っている間も影響として残ってたのさ。
先生:もしかして…むやみに殺さないのではなく…リエルの意思で殺せなかった…と?
イド:そうだ。俺さ、いっつも戦ったあと…疲れ果ててるだろ?あれもちゃんと意味があってさ。リエルの拒絶を無理やりエーテルで振り切ってるから…余計に疲れるんだ。
そもそも俺が主導権を握っている間はずっと少しずつエーテルを消費してる。
先生:確かに。イドの体力とエーテル値が満タンなの…見たことないですね。リエルの時はともかく。
イド:んで、卑怯な手は使わないって件だ。使えないんだよ。最低限の殺りあいであれだろ?卑怯な手を使おうもんなら…一回で力尽きてぶっ倒れるだろうしその分負担も跳ね上がる。
先生:じゃあ…ランカー戦でエーテルの槍を放ったときのあの体力の減り様は…もしかして?
イド:そうだな。たとえ相手が竜でも遠距離攻撃は卑怯なんだ。現にゼプツェンとやりあった時…一撃は素手で殴ったろ?あれは以外と楽だったんだが…指弾で追い討ち掛けたときで体力ほとんど持ってかれた。
おまけに直接敵として殺り合う関係ですら無かったからな…
先生:あ。直接の敵ではないと言うことは…拒絶の度合いも跳ね上がっていた……と?
イド:そう言うこった。最初の質問の答えもそれに当たる。相討ちを狙わなかった理由…あれは逆に、あの状況を善しと思わなかったんだろう。半分無意識に放ってた。
多分…あれを我慢して静観してたら俺は殺られてた。体力切れで気絶したところを…奴等に。
先生:じゃあちなみに…何故ゼプツェン戦で飛び出したんですか?さすがにそれはリエルの意思では無いようですし…
イド:あれは………俺がキレただけだ。仮にもリエルを刺した野郎があんな腑抜けだったとはよ…
いくら主導権がリエルにあったからってそんな奴に気付かなかった俺自身の不甲斐なさにも。
あーでもしなきゃたぶん…後でエリィを私刑にしてた。半分八つ当たりだがな。
先生:そういえば言葉に怒気をはらんでたと思ってましたけど…そんな事を考えていたとは。あれ、エリィへの言葉…だったんですか。
["覚悟"の無い野郎が…戦場に立ってんじゃねぇ…]
両名に向けたのかと。
イド:…………結果的に両方に向けたことになったが大元はエリィのせいだ。あんな腑抜けじゃなかったら俺が出るまでも無かったからな。
先生:確かに…そうなりますね。そういえばタムズでプリムを助けたとき、何故殺らなかったんですか?
あの時殺ってたら…後にマリアに会うことは無かったでしょうに…
イド:船酔いが酷くてトドメを刺せなかった…が第一の理由だな。立ってるのもやっとだったんだ…
第二の理由にギャラリーが居やがったから。仮にトドメを刺せたとして…あの状況だ。俺は動けない。別の意味で面倒な事案になってたろう。
先生:先に現場についたのはビリー君でしたから…確かに読み通り。非常に面倒な話になったでしょう。
でも…それならマリアの時は?迷わず殺ってましたけど。
イド:先生が隣に居たし…アイツとは一度戦った。今更隠す必要もなかったのさ。万が一騒ぐようならあのまま殺るのも一つの手だった。
結局アイツもただのクソガキ止まり。腑抜けの多いこった。
先生:そういえば枕元でからかったのは…殺り合う気がなかったって言ってた気がするのですが。
イド:ああ。リエルを振り切る体力が無かったからそうするしかなかったとも言えるが。
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