リエルの暴走5

(次の日。イドが目覚める。)


イド:そ…相当酷かったようだな…

1週間はゆうに経ってるのに…エーテルが上手く機能しねえ………なんて…


先生:久しぶり…ですね。ええと…記憶は…?


イド:二人の話は全て聞いた。リエルが逃げてた途中以外はな。


先生:ああ、エーテルガードの時ですか。……あの話はやはり初耳で?


イド:……夢の詳細な内容は初耳だったな。

相当強く拒絶し続けたらしい。俺が見えたのは情景だけだった。


先生:…イドの力が目覚めたのは…やはり。

あの発動条件を満たした、と言うことでしょうか?


イド:そうだな。間一髪俺が主導権を握る方が早かったが…もし俺が出れなかったら…リエルが力に飲まれていたろう。

今思えば…リエルを取り巻く全ての環境が、仕組まれたモノじゃねーか?とも思うが…

(流石にソラリスに来てからのゴタゴタは違うだろうが。)


先生:なるほど…ありとあらゆる連中から迫害や虐待を受け続けた…

相手を殺したいと強く意識することは全然不自然じゃないですね。


イド:リエルはあの家に産まれてから…ただの1度も罪は犯さなかった。だが、責め続けられる定めにあった…


連中からしても好都合だったんだろうな…ただ誤算だったのは…俺が主導権を握るまで絶対抵抗しなかったその精神力と言おうか。


先生:そうですね…おいそれと耐えうるものじゃありません。

失礼ながらリエルは…精神的な強さは殆ど持ち合わせてないと思っていました。

逆、でしたね。たった1つの誇りを…守り続けていた。


イド:…なあ、先生。俺がこの力を得たのは…良かったんだろうか?


リエルを裏切ってるんじゃねえか…?


先生:……分かりません。ですが…

使いこなせないからこそ、"バケモノの力"だと思うのですが。

現にリエルは使いこなす前に、精神的に暴走しましたけど…

あなたは違います。理性も限度も保ち、必要以上に力を振るわない。

コントロールできている以上、裏切りにはあたらないと思いますが。


イド:そう…か。そうだと…良いんだが。

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