取引

?:……ふっ。ノコノコ独りで現れたか…

"バケモノの子"…イド・ウェパール。


イド:……俺の"荷物"を返してもらいに来た。条件通り、独りで。

それにしても…俺がバケモノの子だと知って喧嘩を吹っ掛けて来たのか…良いだろう、己の愚かさを知るがいい。


?:ああ…"これ"か。


(傍らに気絶したリエルが居る。相手は爪先で額を小突いた)


イド:…………素直に渡す気は…ねえか。

上等だ。


?:……秘密を知りすぎたお前には死んでもらう。このお荷物も一緒に殺してやるから安心しろ。


イド:人間風情が…俺を"殺す"?寝言も大概にしてもらおうか。


?:余裕ぶっていられるのも今のうちだ。死ね。


(相手は両手で銃をぶっ放し始める)


イド:…………とろい。この玩具で俺が殺れるとでも?


(全て避けながら地面に手をつく。槍で銃だけを破壊した。)


?:ちっ…ならば俺もエーテルを使うか。食らえ!


(イドと同じような指弾を放つ)


イド:なんだこのへなちょこは…?本家は……こうするんだよ!

(軽く相殺すると同時に3つの弾を放つ。)


?:が…はっ。……ま…まだだ…。

まだ……手はある……。


(よろめきながら背後のドアを開ける。そこに居たのは"…)


イド:…………!?気でも狂ったか…。

(あれは…地竜ランカー!)


?:は。………はは…!俺に…逆らった罪………は重い。ランカーの餌とな………るが…いい。


イド:…はぁ。相変わらず舐められたもんだな。


(呆れた様子で地竜ランカーを見つめている。何度目か分からない相手に今更恐怖など無かった)


こんな雑魚、朝飯前だ。


(飛びかかり首をへし折った。)


?:なっ…生身で…ランカーを………?


イド:甘い。ランカーごとき、バケモノの俺が…"殺れない"とでも?


(睨み据えると、相手にゆっくり歩み寄る)


?:ひっ……く……来るな……!


(腰が抜けて立てないようだ。)


イド:………リエルは返してもらう。


(敵の腹部を一発蹴る。)


?:げほっ……た…助けて………ください…っ!僕が…悪かったです……!


(震えながら土下座している相手を後目に、イドは無言でリエルを担ぐと敵に背を向け歩き出す)


?:………!馬鹿め!引っ掛かったな!


(ほくそ笑むと腰の剣を抜き放ち飛びかかる)


イド:……ああ、そうだ。一つ教えといてやろう…


(地面に手をつきエーテルを放つと敵の身体を貫いた。)


俺は…お前と違って"命"を取引の材料にはしない。残念だったな。バケモノは果たして、どっちなんだろうな?


(振り返ることもなくその場を去る。)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る