体調不良時の対応(親密度低)

【シミュレーションルーム4にて】

先生:サイ?居るんですか…


(手元の管理端末には要診察の表示が出ている)


サイ:………!?(あのね、なんで調子の悪いときに来るんだろう?)ど…どうしたの?


先生:……(素直に話す気は、無いようですね。隠されるのは困るんですが。)

さっきジェサイア先輩が言ってたんですよ。具合が悪そうだが知ってるのか、と。


サイ:…(う。そんなにバレバレだったのかな……?上手く隠してたつもりなんだけど……でも、言いたくない……)

あのね……その人の気のせい。だいじょぶだもん…!


(先生の隙をついて、サイはダッシュで逃げた。その様子を見てため息を吐いた先生。)


先生:……ふぅ。どうしたもんですかね。距離をおいたほうが良いんでしょうか?無理に接触するのは…逆効果になる気がします。


サイ:………はぁ……はぁ…!寝てれば治るよね…たぶん。(だけど、暑くて寝れないよ……)


先生:一応部屋に戻ったようですけど……寝ませんね。寝れないんでしょうか。


サイ:………だめ…眠れない…でも………


(とうとう我慢し過ぎて気絶したようだ。そのままイドが主導権を握る。)


イド:……くっ…確かに酷い、俺でも頭がボーッとする。サイじゃどうしようもないか。回りに人の気配は…ねーな。


(イドは寝床に横たわるが周りが気になって結局眠るには至らない。)


しまった…俺だと、そもそも寝れねーんだった。


先生:…ん?寝ないままイドに…(寝ないというよりは…気絶でしょうか。このまま動きがなければもう一度様子を見に行きましょう。)


イド:……そうだ。こんな暑いんなら水被ったら涼しいんじゃねーか?試してみっか。


(熱でフラフラになったイドは、堪りかねて部屋の風呂に水をためて浸かる。急に冷やしたせいで容態はさらに悪化したようだ。)


お…おかしいぞ……?冷えた、のに…目眩が酷い……(涼しいを通り越して、さ……寒い…)


先生:…何、やってるんですかね…?カードを手放したのは分かったんですけど…(この管理システムはまだ知られてませんし、隠される事は無いはずなんですが…)

いいでしょう。カードの話をだしに様子を見に行きますか。


(その頃イドは真っ裸で風呂場から動けないようだ…)


イド:へっ……くし!何で悪化したんだ…?

(やべぇ…意識が…朦朧と…………)


(慌てて部屋に駆けつけた先生。イドが浸かっているのが水風呂だと知ってすぐさま引き揚げた)


先生:イド君!?何やってるんですか……?(何がどうなったんでしょう。考えるのも恐ろしい…)

とりあえず寝るなら服着なさいって…!


イド:うへ……?


(イドは酷い熱のせいで、目の前に居るのが誰か分かっていないようだ)


先生:…はぁ。尋問する以前に意志疎通が図れないですね…缶詰からの説教としゃれこみましょう。


(避けられているからと距離をおいた結果が裏目に出て、先生は頭を抱えている)


イド:誰………だ………?(頭が回らない…)


先生:(現場の状況を鑑みるに、熱の暑さを水風呂で誤魔化そうとして悪化したようですね…体温が40度を越えるなんて…死にかけですよ。)


イド:(ちょっと…楽に………)


(先生が投与してくれた解熱剤の効果でやっと眠ったようだ)


<二時間後>


先生:…しかし……どうしたもんですかね。放っておいたら死にかけるし干渉し過ぎもどうかと思いますし…


イド:………う……ん?(気持ち悪くて、吐きそうだ…そもそも俺は…一体何を?)


先生:……はぁ。お目覚め、ですかイド君?


イド:……あ…ああ。(ダメだ…記憶が混乱して…)怒って…いるのか、先生……?


先生:ご名答。一応聞きますが…私が怒っている理由、何故か心当たりはありますか?


イド:(何…したっけな?)……………?いや…わからない。実は…いつ起きて今に至るのか、記憶が混乱して全くわからない。

(俺め…本当に何をした……?)


先生:……ふむ。(嘘をついてる調子ではないですね。ならそのまま…)何かをしたというよりはむしろ逆、です。何故そんな状態を放置したんですか?


イド:弱みは見せたく…ないんだ。相手につけ入られる隙を…与えるから。


先生:あのですね…イド君の気持ちはよく分かります。しかし……そうだとしても限度があるでしょうに。


具合が悪いまま放置して、その時誰かに襲われたら元も子もないでしょう?現に私が来たとき敵か否かの区別すらついてませんでしたし…


イド:くっ……しかし……


(イドは躊躇っている。過去のサイの記憶が、素直に他者に頼る事を阻んでいるのだ)


先生:敵につけ入られる隙を与えたくないなら、最低限自分の調子を整える事が重要です。


それに…具合が悪いまま放置するのはサイの生命維持に大きな支障が出ることをくれぐれも留意するように。良いですね?


イド:(そう言われると反論、できねえな…)……次は気を付ける。


先生:(確約でないのが気がかりですが、過去を鑑みれば仕方ないですね…)

よろしい。解熱剤で多少楽になったでしょうが当分動いてはいけませんよ。自ら悪化させたんですから。


イド:……(俺が…自ら悪化させた…?)

やっぱり俺、何かやらかしたのか?


先生:熱の暑さを誤魔化そうとして水風呂に入ったんでしょう。結果体温が40度を突破して風呂場でのびてましたけど。


イド:(ば…バカなのか俺は…?)とんでもねえな…当然記憶には残っていないけど…


先生:言わんこっちゃない。ただの熱だからって侮るからこうなるんですよ。


イド:うう…すまねぇ…

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