2-8 妖艶の蜜毒
六月九日 午後二十三時前。
暗がりの狭い一室。濃密な気配が籠る。
机には試験管やフラスコ、メスシリンダーやスポイト、謎の液体が入った小型瓶から難しそうな分厚い書まで、乱雑に置かれている。
イスには誰も座っていない。
簡素なベッドが一つ。時々軋むような音が微かに聞こえる。
そこに二人の人影。一人は美しい裸体の女。もう一人は痩せ細った男。
いや男というには些か年端が足りない、童男と呼ぶのが正しい。
「……そうよ○○くん……もっと舐めて……」
「…………う、うん」
「ァ……ハァ……ン、アッ、いいわよ……○○くん……そう……ッ、そこ」
女の艶めかしい喘ぎ声が漏れ出る。
細い舌を一生懸命に転がす童男。ダラダラとした粘液が女の身体を伝う。
「ハァ……アッ、アッ……もっと激しく……して」
だがそこで、濃密に高まった気配が一度途切れた。
「あら…………どうしたの……」
「……本当にこれで○○○○の病気が治るの?」
女は不安そうな顔している童男を、自分の胸元に引き寄せ、細く綺麗な指で優しく、髪を梳く様に撫でた。
「大丈夫よ……安心しなさい……○○くんのお陰で少しずつ元気になってるから……」
蕩けるように童男の耳元で囁く。
童男は安心したのか、笑顔で女の宝満な乳房に頭を擦り付けた。
「あたたかい……お母さんの匂いがする……」
「そう…………いいのよ……存分に甘えて……」
女は童男の性器を細指で撫でまわし、雄としての性能を、本能を。
本来の成長よりも早く、剝き出しにさせていく。
「うっ……っ……ぅぅ」
「? あら、びっくりしちゃった?」
童男は自分のソレが見たこともないような大きさに変貌していくのに驚き、徐々にその表情は恐怖と不安が入り混じっていく。
女は戸惑う童男の小さな手を自分の乳頭に触れさせ、扇情的に煽る。
「大丈夫……ソレが私の
「……本当?」
「えぇ。さぁ……早く、続きをお願い……ね」
女は妖艶に、微笑する。
それは、甘く蕩ける『蜜』のよう。
果ては、蝕み腐敗させる『毒』のよう。
やがて濃密な魔の気が部屋一杯に、充満していく……。
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