ナイスキャッチ(青年)
限前:神是さん、聞きましたよ。また飛び降りた人をすんでで受け止めたって。いつも思うんですが、どうやって受け止めてるんですか?
神是:……んなこと聞いてどうする?
限前:純粋に興味本位で知りたい、と言ったら怒りますか?("死神"の救命術…もし応用できるなら是非とも習得したい)
神是:テメーは前科持ちだからな……下手に悪用しかねない。それにこの方法、トチったら自分も巻き添え喰らって死んじまうんだ。悪いがこの方法、おいそれと素人に教えるわけにゃいかん。
限前:そ、そうですか…すみませんでした。(どんな危ない方法なんだろう…。誰か知らないかな?)
<一ヶ月後>
(神是は珍しく病院の外へと外出している。解剖学についての勉強会があったのだ。ふとその道中で、限前の質問を思い出した)
"いつも思うんですけど、飛び降りた人をどうやって受け止めてるんですか?"
神是:(ふん………なんとなくやってるから説明できる訳ねーだろうが。
一つだけ言えるとすりゃ…自ら落ちた奴は、上を見ずとも気が付くから失敗しねーが……事故や事件で落ちた奴は、気が付かず応対が遅れちまう。
遅れた時が本当に危ねぇ。一度肋骨折ったときは死ぬかと思った、冗談抜きでキモナシにこっぴどく叱られたしな)
通行人1:おい、あんた!何か落ちてくるぞ…逃げろ!
神是:……あ?(何かってなんだよ…はっきり言えよな……)
(神是が上を向くと、男性が落ちてきていた。気絶しているのか身動ぎもしない)
………!?あれは、人間…!(くそっ、初動が遅れた……無傷とはいかんか…!)
(素早く振り返ると、左腕で男性の首と頭を支える。残る右腕で下半身を支えたとき、上手く体重を受け流しきれずにそのまま神是は腰を抜かしてしまった)
………ぐっ!(こ、腰が………。やべぇ、立てねぇ…っ!)
通行人2:真下の人に直撃したぞ!救急車呼べ!
通行人1:い…生きてるのか?両方無事だぞ、信じられん……!
(安堵からため息を吐いた神是。念のために脈をとり、男性が生きている事を確かめると、抱き抱えたまま地面に仰向けになった)
神是:(………幸いな事に自死ではない、か。なら収容後の手間は省けたな…後は、限前やキモナシに任せりゃ……)
救急隊員:この辺りで飛び降りがあったと伺いましたが、あなた方ですか!?
神是:…………落ちたのはこいつだ。俺が間一髪で受け止めたから、恐らく怪我は無いだろう。それでも念のために病院へ搬送を頼む。
(神是は名乗る代わりに身分証を提示する)
俺の名前を出して状況説明したら、二つ返事で受け入れると思う。
救急隊員:は…はい!すぐ手続きします!
神是:(…………さすがにちょっと痛いな、後で湿布貼るか…)
(体制を整えて立ち上がった神是は、そのまま歩いて救急車に乗り病院へと帰還した)
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