一筋の光(限前零×キモナシ院長)

"一筋の幸せの光、一人分しかないその光に対して…彼らはどう思い、動くのか?"



限前:…………どうしたもんかな。


(棒菓子を咥えると零は光から目をそらした。光の下に入る気はないらしい)


キモナシ:零はその光の中に居なよ。僕は此方で良いからさ。


限前:おい、一人だけ幸せな気持ちになれってのか?俺は今更悲しみも…………


キモナシ:僕はいいの。せっかく親という柵から解かれたのに…また此方側に、絶望の中に………舞い戻るつもりかい?


主治医として言わせて貰うけどさ、今度こそ君、壊れるよ。


限前:それはお前さんだって同じじゃねーか。生憎一人だけで浴びるには…この光は眩し過ぎらぁ。


(零は光に背を向け、闇に一体化したキモナシを見つめた)


キモナシ:ふふ……僕はね、闇を己が力にできる。悪鬼も、人間の持つ心の闇も……ご馳走なのさ。


だからこの暗闇は…僕の領域<テリトリー>なの。


別に零が此処にいても良いんだけどね。増幅された負の感情を戴くのも悪くないし。だけど、僕だってそこまで非情じゃない。わざわざ患者を壊す真似なんかしないよ。だけど………


(言葉を切ると零を光の下に立たせ、自分は側に寄り添った)


一人が耐えられないなら、僕が側にいるよ。目が眩むというのなら、僕が道標になろう。だから零は……光の下で生きるんだ。


幸せになる事を、恐れなくていい。罪悪感を覚えることじゃない、君の人生は…


誰が何と言おうと君だけのものだ。

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