二人の再会(青年)
限前:………あ……神是さん!?お久しぶりです!(まだこの病院に勤めてたなんて知らなかった…。一度も会わなかったから…!)
神是:ん……?誰だお前。格好から察するに医者なんだろうが……最近お前と会った記憶はないな。
(突然現れた青年を見て、心当たりがないと解ると怪訝な表情で首をかしげた)
限前:あ、あの…覚えてませんか?その、八年前に自殺未遂をしたとき……神是さんが受け止めてくれたんですけど。
神是:……………あ、思い出した。あん時のガキんちょか!ってことは、しぶとく生き延びたか……そうかそうか。
(軽く頷いたがやや不満そうな表情だ)
限前:あの時は迷惑をかけて本当にすみませんでした。
神是:そう思うんなら、今度はもう少しましな死に方を選べ。細切れ肉片(ミンチ)を拾う方の身にもなりやがれってんだ。
俺も一応医者だが、生憎安楽死は管轄外だからな。まだ死にてえなら他をあたれ。
日向:………え、ええと…神是さんっていつもああなんですか?
キモナシ:うん。死を唆すような言動で心配になるけど、実際のところ自分で作った死体と向き合うつもりは無いらしいからねぇ。
死因が判明している死体の相手はつまらないって。方法がどうとかに関わらず見掛けたらちゃーんと制止してくれるよ。
日向:(そういう事では無いのですが。なんで無事に再会できたのに、彼は不満そうな表情なんですか…?)
神是:(…………全然興味が湧かん。病棟を一巡してきたが、存外元気な連中ばっかなんだな…つまらん)
(神是はため息を吐くとそのまま根城にしている霊安室へと帰っていった)
えーっと…きり…………きりさき…
あった。限前零っと…(相も変わらず親子揃って変な名字だな、読めねぇだろうが………)
当時の年齢は16歳、精神的に追い詰められた結果投身自殺に走る…
ふーん……俺の見立てが外れたのか。今まで気になった連中で死ななかった奴は居なかったのにな。
キモナシが立て直させたのか?だとしても、あれほど毛嫌いしていた親と同じ医者になってたとはな………。これだから生きてる人間はよく分からん、死体相手の方がよっぽど面白い。
患者の身体と向き合うのと…患者という人間と向き合うのは違う、俺は人間と向き合う事は出来なかった。医師免許を取るまでの研修が苦痛だったな…
一ノ瀬さんに出逢って、この道を選んだが…勤める場所、間違えた気がするな。
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