抱きつく師弟(青年)

限前:………卯月さんが俺に抱きついて容態確認をしてる仕組みがいまいち分からない。何を確認してるんだろうか……?(日向さんで試したら、何か分かるかな……)


日向さん、ちょっと胸を貸してください。


日向:ふむ……?もしかしてアレですか?いっちょ揉んでやろう……的な。


限前:………!?ち、違います!どんな発想をしてるんですか…。(変な事言うから動揺してしまった……!)


日向:ふふ…冗談ですよ。で、何をするつもりですか?


限前:ちょっと、抱かせてください!


(思いきって限前は、卯月の真似をして日向の胸元に抱きつく。案の定、耳を澄ませても手掛かりになりそうな"音"は聞こえない)


………やっぱり、音を聞いてるんじゃないのか。じゃあ一体何を…


日向:なるほど。卯月の真似、ですか……気になりますか?何を確認しているのか。


限前:え……?知ってるんですか?(さすがは兄弟、と言うべきかな…)


(日向は微笑むと、限前の胸元にそっと手を添えた)


日向:卯月が確認していたのは、貴方の鼓動ですよ。


限前:こ、鼓動……。まさか、それだけであんな正確に俺の体調を判断してたのか………?


日向:卯月は、患者の顔色から不調を見抜く力に長けていましてね。恐らく鼓動を確認せずとも、貴方の体調が優れない事を分かってたんだと思います。アレは…そう、パフォーマンスの一種。


もちろん多少は、確認の意味も込めていたのでしょう。鼓動が服越しではっきり触知出来るということは…患者が動悸を感じている証拠でもありますからね。


限前:そうか、動悸か………感じないタイミングがあまりないので、うっかり忘れてました。


日向:普段の睡眠時間が二時間程度なら、当然かと。ところで今日は、何時間眠ったのですか?


限前:う、このタイミングで意地の悪い質問をしないでくださいよ……。まだ一徹目ですけど…


日向:嘘を言っちゃいけませんよ。今日で当直が終わるんですから…二徹目でしょう?


限前:………あ、あれ?日付の感覚がずれてました。もう火曜日だったんですね(記憶が1日抜け落ちているような気が……)


(指折りで日付を数える限前の様子を見ると日向は深いため息を吐いた)


日向:零君、キモナシさんには伝えておきますから早退なさい。そのままじゃまた倒れますよ?


限前:………す、すみません。一休みして卯月さんの所に行ってきます…。


日向:ええ。万が一自力で動けなかったら私を呼びなさい。手伝いますからね?

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