体調不良の理由(青年)

卯月:ですが、どうしてもあの一点だけは…確認しておきたかったのです。


自分を省みない、昔の貴方から変わることが出来たのかどうか………


(そこまで言い終えると、膝から崩れ落ちた卯月。苦しげな表情で胸元を押さえている)


限前:卯月さん!大丈夫なんですか!?


卯月:………零君。1つお願いがあります。今の私を…診てくれませんか?


限前:わ、分かりました……!(どうして、急に……?)


(ぐったりとしている卯月の首筋で脈を測る。激しい運動をした後にも匹敵する速さに、思わず目を見張る)


(………そ、そうだ。詳しい検査が出来ない以上、後出来るとすれば…)


(限前は机上の聴診器を手に取ると、心音と呼吸音を確かめた。幸い直ちに命に関わる発作ではないと判断出来たが……)


いつから、この症状があるんですか……?


卯月:………3ヶ月前、ですね。痛みの強さ、発作の回数は…日を追う毎に悪化の一途を辿りました。


限前:(………俺が、卯月さんと距離を置いてから?)だ、誰かに相談は………


卯月:当然、兄の日向とキモナシさんには相談して診てもらいました。これは、疾病からくる症状ではありません。心因性のものらしいです。なので、特に治療は受けていませんでした。


………心当たりはありました。零君に再会すれば治まるだろうとも分かってたんです。


限前:………………じゃあ、もしかして…今この症状が出ているのは………?


卯月:貴方が、勤務中に倒れたと聞いたからでしょうね。今でもあの日、どうやって病室までたどり着いたのか…全くわからないんですよ。


目の前が真っ白になって、病室に着いてもしばらく動くことができなくて……"放心状態"とは、あの様な事を指すのでしょうね。


不安が最悪の形で的中してしまったのです。そして今も…貴方の身体は完治していない。

また無理をするのではないか?そんな不安が頭をもたげてきて………


限前:………俺は………どうすれば、卯月さんの発作を抑えられますか?


卯月:………もう2度と、急に居なくならないでください。今でも私の…担当を志してくれるのなら…!患者を1人にさせちゃ……ダメですよ…


………次、零君が無茶して倒れたり…急に居なくなったら……私、身体が持たない、です……!


限前:………はい。ごめんなさい、卯月さん。

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