問診と所見1(青年)

日向:零君…一体このログ、どこまで真実なのですか?いつもこんな感じなのですか?


限前:別に平常通り……です。追記にも嘘はありませんけど。


日向:睡眠時間が二時間、食事が1日二回。これでは激務云々の前に生命維持に支障が出るの、当たり前じゃないですか!


限前:……(やっぱり怒られたな…睡眠不足は確かに致命的だ、気付け薬が無いとあの時は危なかった。)


……すいません。ついうっかり…


日向:はぁ……うっかり、ですか?


限前:……睡眠時間が確かに短い自覚はあります。ただ………食事はあれでも食べた方、なんです。


日向:失礼、あれでも食べた方なのですか………?普通に空腹で動けなくなるのでは?


限前:……いえ。俺……"空腹を感じない"んです。だからつい忘れてしまって…


日向:それ、いつからですか?


限前:……………さあ。覚えが無いほど昔、だと思いますけど…


日向:ずいぶん、他人事なんですね?まるで食事そのものに…"興味がない"かのような。


限前:興味………?確かにありません。何を口にしても味を感じた事がありませんから。


………これは幼い頃からずっとです。必要が無いので誰にも言いませんでしたけど。


日向:……隠さず答えなさい。"摂食障害"の症状はありますか?


限前:…………すみません、そもそも気にも留めてなかったので自覚症状に心当たりが無いんです。


とりあえず精神症状は当てはまらないと思いますけど。


日向:いいでしょう。自覚症状に心当たりが無いのなら…身体所見を探るまで。


限前:……どうしてそこまで?


日向:もし仮に零君が摂食障害を発症していれば……冗談抜きで命に関わります。


知ってしまった以上、医者としては見逃すつもりはありませんよ。


限前:(多分、自己診断の範囲では摂食障害とは違う。生命維持に興味がなくなったせい、だろう。


俺の人生は……親の期待に沿うためだけに育まれたもの。そこに"俺の意志"はそもそも存在しない…)

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