フルダイブ2(中年)

<日向の精神世界>


日向:……!(此処は…………見馴れない部屋ですよね?零?何が起きたと………)


(落ち着きなく辺りを見渡す。理解が追い付かず、やや混乱している)


零:…………此方だ、日向。此処はお前さんの精神世界。珍しいだろうがお前さんの一部だぞ?


日向:此処に何があると…言うのです?どうして私の中に…


零:まあ……来れば解る。百聞は一見にしかず、って言うだろ?


(零は勝手知った庭のように日向を案内する。ほどなくして深い海が目の前に広がった)


日向:これは…………触れても大丈夫なのでしょうか?(何かが検討もつかないとは、自分の事なのに……)


零:ま、問題無いだろう。どちらにせよお前さんの記憶だからな。


ただし落ちるなよ、溺れるぞ。


(日向は恐る恐る手を触れた。その瞬間、自らが忘れていた些細な記憶が甦り……そのショックでうっかり落ちそうになった)


日向:……………っ。今の、は…………

水?それに………


零:だから言ったろ、落ちるなよ…って。


此処は"記憶の海"と呼ばれる。


お前さんの記憶が全て、其処に溜まっているんだ。忘れた記憶も、何もかも………

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る