フルダイブ1(中年)

零:……う。俺は………何で寝てるんだ?(ここ、確か日向の……)


(目を覚ましたそこは、同僚である日向の部屋だった)


日向:零。その様子では何故ここにいるのか覚えていないのですか?


(棒菓子を咥えると目を細め少し考え込んだ)


零:………この俺が、もーろくしちまったのか?全く思い出せねぇな…(思い出せねぇのは性に合わん、ちと潜ってくっか……)


(慣れた手つきで胸元をまさぐると目を閉じた)


日向:ま、待ちなさい…零。一体何をしてるんですか?


零:………潜ってくらぁ。すぐ済むから待ってろ。


日向:ダメですよ!私が知りうる限りはお教えしますから、戻ってください!そんな体調で力を使っては……


(既に零に声は聞こえていないらしい…深いため息をつくと呼吸が止まってしまう。


精神接合の様子とは全く違い、些か苦しそうな印象を受ける)


日向:………!?れ、零…?


(驚いた日向は慌てて脈をとる。死んでいないことは確認できたが…)


"フルダイブ"………って…何なんですか?こんな苦しそうな貴方を、私は見たことありません。


早く……戻ってください…………!


<記憶の海にて>


零:(………んなもんか?どうやら無様にぶっ倒れちまっただけらしい。あんま深く潜ったら……さすがの俺でも、溺れるな……っ!)


(苦しげに泡を吐くと、そのまま泳いで海を出た)


<外の世界>


日向:……零?(呼吸が……戻った……。時間にして約3分…もしかするとフルダイブの度に?)


零:うっ…………(さすがに、堪えるな…)


(うめき声をあげ、限前は目を覚ました)


……戻ったぜ。んでそんな怖い顔をしてんだ?


日向:一体……何をしたのですか?


零:……?何って……"フルダイブ"だ。言ったろ、潜ってくらぁ…と。


日向:こ、呼吸が止まるなんて…聞いてません!どういう仕組みなのです!?


零:………お前さん、水に潜った事は?


日向:馬鹿にしないでくださいよ。泳ぎの心得くらいあります……


零:………そうか。つまりそういうこった。水に潜るとき、呼吸なんか止まって当たり前だ。溺れるだろ?


日向:理解できません。何故今水の話をしているのです?


零:論より証拠か………おい、身体を貸せ。目の前で納得させてやるよ。


(日向を無理やり寝かせるとそのまま精神接合した)

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