罠
たいやき
罠
何千年ぶりだろうか我々がこの星にやってくるのは…。
今でも私はこの星の事は、鮮明に覚えている。
意味のわからん巨大トカゲが急に我々を食べようとするもんだから、この星にいるトカゲというトカゲを仲間と共に殺して帰ってしまったんだっけ。
命の危機に晒されたんだ。このくらいやって当たり前だろう。
しかし、今思えば惜しいことをしたと思う。なぜ我らが母星に帰ってしまったのか。こんなに条件が良い星はなかなか無い。
今考えたってしょうがない。約7000年経ち、我々が再びこの星に来ることができたのだから。
前回来た時よりも多少寒くなっているようだが、まあ気にする必要はない。
またあの頃のようにこの星にいる生き物を殲滅し、今度はこの星の開拓でもしようかと思ってる。前回来た時は、採掘をすることも忘れていたからな。
さて、もうだいぶ近くまで来たようだ。
「総員、衝撃に備えろ!これより着陸する!」
「了解!」
「大気圏突入しました。あ、前回来た時よりもだいぶ文明レベルが上がっているようです。」
なるほど、この星の奴らもバカでは無かったらしい。まあ、我々に言わせればこれでもまだ低い方だが。む、なんだこれは。何か黒い網のようなものが張ってあるぞ…。
「艦長、奴ら罠を張ってました!」
「なにぃっ!」
「何やら網状のものが、いたるところに仕掛けてあります。とても全て避けられそうにありません!ぶつかります!」
「くそおっ!せっかく遥か彼方から、来てやったというのに!総員何かに掴まり衝撃に備えるのだ!衝突するぞ!」
「艦長!何やらこの罠に電流が流れているようです!機体が引っかかって何もできません!」
「くそっ!くそっ…!誰か、助けてくれ…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「緊急速報です。今日昼頃、A県全体が謎の停電に見舞われました。この停電での被害者は今の所確認されていません。数時間で回復されると思われますので、A県にお住いの方は、冷静に待機をしていてください…」
「だとよ。まあ、外にでも出て気分転換しようぜ。お、100円落ちてんじゃん。ラッキー。」
「おいおい、なんかそれ形が歪じゃ無かったか?しかもなんか黒ずんでたぜ。」
「いいの。使えればいいんだよ。使えれば。」
罠 たいやき @taiyaki05
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