第13話 ――激闘!部活動予算委員会
「葵、今年の予算委員会には私の後継者として結月を連れて行くわ。」
「そうね。しっかり仕込んでちょうだい。私たちが卒業しても後輩たちが困らないように。」
高等部からは部活の予算委員会は生徒会に任せられる。
大抵は去年と同じ感じでつつがなく終わるが、今年はどうも違うらしい。
私と凛姉とそれになぜか塚っちゃんも男子の代表として出席する。
生徒会室まで行く間、凛姉に予算委員会のことを聞く。
「私や塚っちゃんは何をすればいいの?」
「今日は私のやり方を見ているだけでいいわよ。一年生が発言することなんてめったにないから。来年は二人がやるのよ。」
「そうなんだ。あっそういえば長瀬君が凛姉をどこにデートに誘うか悩んでたけど、何とかなったのかな?」
「ゲフッ!」
「塚本君大丈夫?。ああ、長瀬君がお弁当作ってきてくれて、野鳥公園とか植物園とかピクニックに行ってる。楽しいわよ。お弁当とっても美味しいくて。」
塚っちゃんが余計なことを言うなよって目配せしてくる。
長瀬君、お弁当自分で作ってるのかなあ。まあいいけど。
「よかったね、塚っちゃん。」
「…なんでボクを巻き込むのかなあ。」
「だって相談されてたじゃん。」
「迷惑かけてごめんなさいね、塚本君。」
「とんでもありません!」
予算委員会は大嵐の中の航海のようだった。
「園芸部の予算申請は納得できません。種や球根は前年取れたものがのが使えるでしょう。新種が欲しければ生物部と協力して自分たちで作るべきです。さらにこの肥料代ですが学校の落ち葉で腐葉土を作るとか、自分たちでまず努力すべきです。大体部員が六人でこの金額は、他の部活にも示しがつきません。楽して園芸をしたいならご自宅でおやりになったらいかがですか。」
凛姉の容赦ない指摘が続くが、どれも正論なのでみんな黙っている。
公開処刑されているのは淀屋橋先輩。
「園芸部は去年の増額分を減額して一昨年と同じ予算が妥当だと思います。」
園芸部は去年、女帝の力で予算アップがされていた。
それを元に戻すだけ、なんだけど……。
他の人は反対しようものなら自分の部活が攻撃されるのは目に見えているので
何も言えない。。
塚っちゃんは味方なのに固まっている。
「それから剣道部ですが、去年の大会での実績と部員数からこれだけの増額をお願いします。後輩のためにも指導していただく外部からの師範をもう一人増やしたいと思っています。他校と比べて師範の指導日数と人数はまだまだ少ないのが現状です。」
園芸部の減額分と同額の増額をお願いするなんて。
我が姉ながら震えた。
「長瀬ってすごいなあ。あの凛先輩とつきあってるなんて。」
「恋っていう
「容赦なしだったね。」
来年私にできるかなあ。
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