第6話 学力は?
翌日は、学校は休みで、明日からは、新しい学校に行かなければならない。同じ市内なので教科書は同じだ。勉強が遅れていないか、確認してみることにした。
事前に学校でもらっておいた資料から、時間表を探し、紗音瑠に用意させてみる。
「明日から新しい学校だから、時間表を見て、教科書とノートの用意をしよう。一時間目は何かな?」
紗音瑠は、「こくご」と言って、国語の教科書とノート、漢字ノートを重ねる。
「そう。二時間目は?」
「さんすう」意外にテキパキ用意ができる。
「紗音瑠は頭がいいなあ」
紗音瑠もうれしそう。
「3じかんめは、たいいく」と言って、体育着の入ったふくろを持ってきた。
「すごい」心からそう思った。
一緒に中身を確認した。体育着のシャツと短パン、赤白帽子が入っていた。まだ買ったばかりだから、前の学校の体育着でいいと担任の先生に言われたのでこれでいい。
畳み方を教えて、自分で畳ませて、袋に入れさせた。
「四時間目は?」
「おんがく」と言って、教科書と鍵盤ハーモニカ、カスタネットを持ってきた。
「パーフェクト!」太陽が大声で言う。
紗音瑠も満足そう。
「国語の今教わっているお話を読んでくれるかな」と、太陽が言うと、
紗音瑠が読み始めた。まあまあ正しくは読めるようだ。よかった。
全部読み終えると、「上手に読めたね」と褒めた。
「じゃあ算数はどこを教わっているの?」
少し嫌そうにゆっくりと教科書を開く。
太陽がノートを開いてみてみる。繰り下がりの引き算が苦手なようだ。多分日常生活で10以上の数を考えることがなかったのだろう。圧倒的に生活経験が少ないだろうと予想できた。
「算数セットはこれか」中から、黄色いブロックを取り出して、一つずつ数えさせた。
1から10までは言えるようだ。
「よく言えた~。じゃあ逆にひとつずつ取っていっていくつ残っているか数えてみよう」
これは、時間がかかるが、迷いながら何とか答えようとする。
「えらいぞ~。少しずつおとうさんと練習しようね」途中で留めた。
でもこれなら、十分追いつけると思った。
教科書とノートをランドセルに入れさせると、二人で散歩に出ることにした。
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