十二日目
「もうここには来ないでください」
「出迎えとは嬉しいですね」
「茶化さないでください」
「私はもうすぐここを去ります。あなたの求婚を受け入れることもできません」
「出来ないだけで、したくないわけではないんですね」
「……言い間違えました、あなたと結婚する気はありません。迷惑です、もう来ないでください」
「威嚇する姿も可愛らしいですね」
「ふざけないで」
「私は本気です」
「急にやって来て求婚してそれが本気だと誰が思うのですか」
「そう言われても本気ですから。あなたに信じてもらえないのは悲しいですが本気です」
「どうしてそこまで……」
「アザレアが好きだからですよ」
「私はあなたに好かれるような人間ではありません」
「アザレア、私は全てを知っています。その上であなたが好きです、愛しています」
「全てを……?」
「あなたがこんな冷たい牢獄にいる理由も全て」
「だったら尚更……!」
「だからこそです。あなたは何もしていないのに裏切られ騙された。それを私は知っています」
「もう帰って……」
「だからこそ私は最期まで胸を張って生きることを決めたアザレアを愛しています」
「帰って!もう来ないで!」
「……また明日伺います」
令嬢は冤罪で投獄されていた。
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