非日常を望んだ日常の英雄(未知)と非日常な異世界の女騎士との現代冒険譚は突然に…(前編)
"私の世界の魔物達"
ライナは確かにそう言った
そして女首相が、
「やはり異世界からの来訪者でしたか…」
そう言って確信したように何度も頷く。
「どういう事ですか?」
そう質問するが…女首相は
「私よりも、そばにいた細矢さんの方が心当たりがあるのでは…?」
確かに…あの生物達を知っているような口振り、魔力とやらを視認できる事…何よりスーパーを知らない…。
どうでもいいとばかり思った俺が馬鹿だったな…、あの時もっと問い詰めれば良かった、
まぁ今更か…。
そう考え、
俺は、
「それは後にしましょう、今はこの非常事態を解決する方が先でしょう?」
そう女首相に言う
「そうですね…」
「で…?俺は何をすればいいんです?」
俺は雷光刀を片手に女首相に尋ねる…
すると女首相はノートPC開き、
「それは計画してます、細矢さんには一番始めにこの富士山に向かっていただきます、その後各地に点在する…ゲートのあるポイントに赴いてもらいます、なお、現地には先に自衛隊達が待っていますから、後は彼等の案内に従って下さい」
「富士山のゲートにも自衛隊の人達は付いているんですか?」
「いいえ、自衛隊の皆様には世界各地のポイントに展開してもらっています、富士山へは貴女方に行って貰います」
「「分かりました」」
俺達の返事を聞いた女首相は
「では…、各々、準備をお願いします!」
そう言って登山用のブーツを俺達に渡す。
「これは…?」
「富士山を登るのに普通の運動靴では不安でしょう…?せめてこれぐらいはさせて下さい」
「有り難く使わせていただきます!」
そう言って俺はブーツを受け取る。
後はリュックに緊急用のロープも詰めてくか…。
そうして手早く準備を終えた俺達に
改めて頭を下げる女首相…
「宜しくお願いします…頼れるのは貴女達以外いないのです…」
「頭を上げて下さい…、俺にできる事をやるだけですから!」
そう言って頭を下げるのを静止した。
そして外に出ると異様に空が暗い、そして空気が重い…。
ライナが笛を吹くと妙に殺気立つグリフォンが俺達の前に降り立つ…。
ライナはそんなグリフォンを撫でながら
「大丈夫…大丈夫よ…」
と優しく声掛ける。
だが昨日とは打って変わているくらいの異様さだ…、グリフォンも不安なんだろう…。
そうしてグリフォンに乗り、飛び立ち、富士山の方角に向けて飛ぶ…、
そして富士山の方を双眼鏡で見ると、富士山に黒い雲が覆っている…
「あれはなんだ…?」
するとライナが、
「あれは多分…、魔物の群です…」
「何だって…!?」
雲と見紛う程の群なんて聞いた事もないぞっ…!?
俺達にできるのか…?
グリフォンに乗って飛ぶ最中、不安駆られる…。
俺が、非日常な世界を願ったばかりに…俺のせいなのか…?
とそんな時、後ろに乗ってるライナが俺を慰める様に抱き締める…。
「ありがとうな…」
ふと呟くようにお礼をライナに言う。
そうして数十分もすると富士山が見えて来る
ライナの言う通り黒雲の正体は無数の赤い眼をしたこの世界のどれにも当て嵌らない謎の生き物の大群…。
其れ等に近づくと雷光刀の鞘が光り輝く…!
向こうもこちらに気が付いたらしい…
さて、どう切り抜ける…?
その時ライナがどっからか光る剣を召喚し、そして叫んだっ!
「光の剣クラウソラスよ!!眼前の英雄に仇なす敵を一掃せよっ!!!!」
そう叫ぶとクラウソラスと呼ばれた長剣は切先から光を放ち、生き物達は霧散した…、
しかしライナがその直後、力無く崩れてグリフォンからずり落ちたっ!
「ライナ!!」
グリフォンは慌ててライナの下に回り込み、俺は落ちるライナをお姫様抱っこで受け止めた。
ギリギリセーフ…。
そしてライナに
「全く無茶しやがって…」
そう言って呆れたようにため息をつく
「えへへ…この時の為に私がいるんですよ…?」
満面の笑みで俺に微笑むライナ…。
「そうそう!アレは何だっ!?」
と尋ねるとライナは口を開き
「あれは私の魔法剣クラウソラスの力ですよ…、所持者の魔力と引き換えに敵を空間ごと切り捨てるんです…」
「ふーん…?だから魔力とやらが視認できる訳だ…?」
そう言うとライナは
「あ、あの…?まさか、怒ってます…?」
その問いに俺は…
「まさか…♪俺なんかの為に力を振るったのに、何を怒る必要があるんだよ?」
俺はそう言ってライナに微笑み…、
ライナはそのまま寝てしまった。
さて、ライナはどうするか…。
そう考える間に富士山の麓に着いた。
あれこれ考えても仕方ない…折角、富士山に来たんだ…思い切り、日本を救う冒険を楽しむとしようか…
そう思いながらグリフォンから降り寝ているライナはそのままグリフォンの背に寄りかからせるように寝せて。
「フォンちゃん愛しき相棒を守ってくれな?」
そう言ってライナの寝顔を見ながら頭を優しく撫でて
「んじゃあ行って来る!」
俺は雷光刀を背負いその場をあとにする
グリフォンはそんな俺を見て頭を上げながら大きく鳴き、一番大きな樹の下で座り込む。
そうして雷光刀を手に富士山を全力で登る事数十分…やっと中間まで登った…、手にした雷光刀のおかげか、日本一高い山をここまで息ギレせずに全力で登ったのは始めてだ。
しかし…ゲートやらは欠片も見えてこない…、
「ここら辺でも見ないとなるとやっぱり頂上か…」
そう言って駆け足で富士山を登る…。
その時地鳴りと共に山が揺れる…!
これって噴火の前兆か…!?
ヤバいヤバいっ!!
早く、ゲートとやらに辿り着かないとっ!!
あの生き物達の仕業だとしたら何の目的で噴火を起こす!?
あーっ!!考えても分からんっ!!!
ゲートとやらを開いた張本人に会えば分かるっ!!多分っ!!!
そしてもう十分経った、俺は富士山の頂上に着いた、そしてそこにはブラックホールのような黒いゲート…そして側には…
「ハッハ!!魔物共ぉっ!!!出て来い出て来い〜♪そしてこの山を噴火させこの島に破壊と混沌をもたらせぇっ!!!」
と下卑た笑い声を発しながら人語を喋る紅い眼をした生き物…、
コイツかっ!!
俺はソイツの背後に立ち雷光刀つき出しながらこう言う
「おいっ…下種野郎…さっさとゲートを閉じて魔物共を撤退させるか、この刀の錆になるか、どっちか選べ…」
すると生き物はゆっくりとこちらを振り向き
「あーん…?誰だぁ?
って女かよ!!しかも見た所30代の女とかっ!!年増女に用はねぇんだよ!!」
と言って大きな翼を振り追い払おうとする。
「チャンスはやったからな…?」
っと言って俺は刀を振り、その大きな翼ごと生き物を一閃する。
するとその生き物と共にゲートも霧散する…。
(後編へ続く…)
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