女首相からの非現実な頼み事と世界の異変は突然に
さて…、昨日も昨日で疲れた…。
こうなるとこの日本に自分の家以外の安息の地は無いのかもしれないな…。
そう思いながらソファーにでかく陣取るように座り天井を見上げる…。
そんな時…ライナが玄関から出て来て一言
「お手紙預りましたよ〜?」
はて…?
光熱費とかの生活費は諸々口座引き落としになってる筈だが…?
「預かるよ」
そう言ってライナから手紙が入った封筒を受け取る…。そこには『重要』のハンコが…、そして送り主の名前を見た瞬間、血の気が引いた…『首相官邸』と書いてあるのだから…。
「首相官邸…!?」
思わず、そう言って驚く…国からの手紙…!?
ライナはそんな俺を不安そうに見て聞いてくる。
「あ、あの…首相官邸とは…?」
俺は分かりやすく教える
「ああ…、まぁ、この国で偉い人達が仕事をする所だな」
俺は恐る恐る封を開け、手紙を読む…。
『細矢 未知様、突然の手紙を御許下さい、ですが大変な事が起こったのです、謎の生物による電車襲撃事件、鍾乳洞での件、あの場に居合わせた住民達による当事者達に貴女達の活躍を聞き、こうして、手紙をだしました、首相官邸で詳しく話をしたいので、この手紙を受け取った当日に、この手紙を持って首相官邸までお越し下さい』
イタズラにしては、ただ事じゃあないが…。
行って確かめる必要があるな…。
俺はライナに声を掛け、いつものリュックと雷光刀を背負い…
「ライナ!出掛けるぞ!」
「えぇ!?お偉いさんの所に行く服なんて持ってませんよ!?」
そう言うので「あの甲冑があるだろ!」
そう言って甲冑を着させる
俺は就職活動の時のスーツを着る…が、これ胸がキツいんだよな…。
仕方ないが…。
そして玄関の扉を開け、いつもとは違う空気を感じる…。
そう思いながらライナの笛を借り、吹く、すると上空を飛び回るグリフォンが目の前に降り立つ。
そして俺達はそのグリフォンの背に乗りグリフォンは首相官邸に向けて飛ぶ、
そして数十分も経つと目的地らしい建物が、見えてきた。
そうして近くに降り立たせ、エントランスへとあの手紙を握り締め、入る。
さて…、俺みたいな平凡な三十路女に何を頼むのか…まぁ、十中八九、碌な頼みじゃないのは確かだが…、
「しかし広いな…」
「そうですねぇ…」
ライナと話しながらエントランス内を歩くと首相らしき女性がSPらしき男達と共に出迎えてくれた…。
「お待ちしてました。細矢未知様、それと異邦人の騎士様」
「あ、あの私まで呼ばれたのは何故でしょう…?」
異邦人…?
ライナは慌てているがそこは問題じゃない…、
この女首相はどこまで知っているんだ…?
そう思っていると女首相は続けて口を開くここではなんですので御部屋でお話の続きをしますね?それに他の方々も着いてますので…。
と言って女首相は1つの広い会議室に俺達を案内した。
そこには自衛隊らしき人達と国防省のお偉いさんが先に座っていた。
ほんとに何が始まるんだ…?
俺達もソファーに腰掛ける
そうして皆が集まりソファーに腰掛けたその時女首相が口火を切る。
「さて…今回皆様に集まっていただいたのは。日本の全国各地、いや、世界中で赤い眼をした生態から外れた生き物達による襲撃事件が多発している件についてです」
そう言うとが不意に口を挟む
「待ってください!それならこの冴えない一般人達を呼んだのは何故ですっ
!」
そう言って口々に怒りを露わにする国防省のお偉いさん達…、
「こんな、碌な訓練も受けていないような一般人達まで駆り出すなんてっ!」
「それ程我等の自衛隊が信頼できないのですか!」
「こんなコスプレ女騎士と中卒の女共まで駆り出すとは流石の私でも理解に苦しみますねぇ!?」
「これだからオタクな彼女は首相に向いていないと散々言ってきたんだっ!!」
まぁそうだよな…ライナは兎も角、
俺なんて実戦経験は数回だけ…、特に最初の電車襲撃の時は助けが無かったら死んでいたからな…、自衛隊の人達みたく厳しい訓練なんて受けてない…傍から見たら冴え無い三十路女だ。
「私を悪く言うのは勝手ですけども…!未知の事を悪く言うのはやめてくださいっ!!」
そんな時、ライナが立ち上がり、国防省のお偉いさんに怒り口調で反論する、それを見て驚く国防省の方々。
俺はそれを静止し黙って首を横に振る
そして俺は、
「首相…協力したいのは山々ですが、御覧の通り俺は歓迎されてないそうなので、これで失礼します」
そう言ってライナを連れ、女首相に一礼し会議室をあとにする、正直、首相とはもっと話したいがあの雰囲気ではそれも聞けないしな。
そして次の日…俺の家の玄関にあの女首相が立っていた。
俺は慌てて身仕度をするが
そんな時、玄関の扉越しに話しかけられた
「あ、私は構わないのでラフな格好でいいですよ〜!」
案外、フランクな人だな…。
言う通りに普段のワイシャツ長ズボンというラフな格好で首相を出迎えた。
「先日は国防省の者達がすみませんでした…あの者達に代わって謝ります…」
と言って女首相は頭を下げる。
「い、いやいやっ!!首相が謝る事では無いですよっ!!」
「そうですよ〜?謝罪はあの人達から直接お受けしますからぁ??」
俺は慌てふためきながら頭を上げるように促す。
だがライナは俺がバカにされたのを大層ご立腹でいらっしゃる…。
それを見て女首相は一層激しく謝り倒した…。
このままじゃあ話が進まないな…
そう思い俺は口火を切った
「先ず…首相は…何故に俺達の所に…?」
そう言うと首相はこう話す…。
「お手紙にも書きましたが、貴女達の活躍を聞いたからです。特に謎の生物による電車襲撃事件では、黒髪でポニーテールのワイシャツ姿の女性…つまり貴女が」
続けて俺の方を向いて話す
っ…。
「でも…、それだけで俺だとは…それに名乗っても無いんですよ…?」
そう言うと首相は
「貴女の言う通り、名乗っては無いですね…しかし、この首相の権限を使えば特定は容易いのですっ!!」
そう言って控え目な胸を張る女首相…
(それは首相関係なく普通に犯罪なのでは…?)
そう心の中でつコミ入れると…
「というか黒髪で普段着に刀を背中に背負うワイシャツ姿の、それも一人称に『俺』を使う女性なんて今どきラノベでも見ないくらい珍しいですよ?だからこそ特定するのに時間は掛かりませんでした」
確かに俺以外にそんな女性はいないものな…妙に納得できてしまう…
「話は分かりました…、ここに来たのはあの件ですよね…?」
そう言うと首相は黙って頷く、
そして首相は鞄からノートPCを取り出し画面を見せる…、そこには世界中の有名観光スポットにあらわれたゲートのような黒い空間から赤い眼をした生物達が出現し、次々と近隣住民を襲っているというものだ…。
「しかし…何で急に…?」
と言うと首相はこう返す
「原因は分かりませんが…この赤い眼をした生物は貴女は心当たりがあるのでは…?」
確かに心当たりはある…
しかし何で急に…?
するとライナが口を開く
「これは…私の世界で発生している魔物達ですっ!!」
「えっ…!?」「何だって…!?」
俺と女首相は驚きライナの方を向いた…。
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