非現実な海岸デートは突然に

昨日以降、ライナは終始鼻歌を歌いながらウキウキしっぱなしだ。何度も鏡の前でワンピースを笑顔で自分の身体に当てがってはポーズを決めたりと忙しそうだ…。

あれじゃあ、夕食どころじゃないな…。

どれ…、たまには俺が夕食を作るかな…。

ピーマンと豚肉を一口サイズに切って…油を薄く引いたフライパンにぶち込み…そこに回鍋肉の元もぶち込むっ!!

と、調理しているとライナが慌てた様子で駆け寄り

「ああっ!すいません!未知!夕餉の用意せずに私だけっ!」

と言って俺に謝る。けれど俺はそれを静止しライナの手にワンピースを部屋のタンスに仕舞うように言って皿の用意とご飯をよそうお椀を用意するように指示する。

そしてライナは終始ウキウキしながら夕食を食べ…鼻歌を歌いながら風呂に入たりで結局、就寝の時までウキウキなテンションは変わらずだった。

「未知ー!!朝ですよー!!」

そして次の朝またしても早く起きたテンション高めのライナに起こされた

「三十路には早起きはキツいだよ…?ライナちゃん…?」

そう言うとライナは「いくつになっても早起きはできなくちゃっですよ?」

正論だ…。

「それはそうだけどもね…?」

よくまあ…、あのテンションが続くもんだ…。あのテンションの維持力は若い証拠なのか…、尊敬に値するよ…。俺は言うと昨日の疲れが取れず。まだまだ眠気に襲われている…。

うう…、甘いコーヒーを飲んで、この強い眠気を晴らさなきゃあな…。

そう思い眠気と戦いつつカップにアツアツのコーヒーを淹れそれに角砂糖を沢山入れる。

そしてその甘々のコーヒーをグイッと飲む。アツアツだが不思議と普通に飲めてしまう。

そうして晴れて眠気が晴れた俺はリュックの中身を確認する、うん十万円が入った財布に…、冷した麦茶が入った魔法瓶…それにレジャーシート…、あとはパラソルは行きの途中で購入するか…。

そうして忘れ物をチェックしていると不意にエメラが

「ニャー!」

「一緒に行きたいのか…?」

と言うとエメラはもう一度

「ニャーッ!」力強く鳴く…。

ふむ…。

ライナに聞いてみる。

「ライナ、エメラも行きたいってさ?」

そう言うとライナは

「いいじゃないですか?旅は多い方が楽しいですし♪」

以外にもライナは快諾した…。デート言うからエメラは邪魔とでも言うかと思っただけに呆気にとられた。

まぁそれだけライナの懐が深いって事だな。

しかし、そうなるとエメラのご飯も必須だな…。そう思ってリュックに追加で普段エメラが食べてる缶詰と水も詰め込み…。

そうして出掛ける準備を終え、玄関に立つ、

と、ここで自分を含めた各々の格好を紹介しよう。

俺は上に動きやすい普段着代わりの薄いシャツこれはスーツのしたに良く着るヤツだな、そしてブラの代わりに水着を着ている、そして下は、パンツ代わりに水着だ、それに普段着である長ズボン。


俺はライナ達に一言「忘れ物は無いか?」

続けてライナ「未知こそ出掛けた直後に忘れたって言うのはナシですからね?」

続けてエメラが「ニャッ♪」

大丈夫と言うかのように短く鳴いた。

新たな冒険に旅立つようなワクワクと共に玄関の扉を開けるそして照りつけるような朝日が俺達を襲う

するとワンピース姿のライナが麦わら帽子を押さえながら雲一つ無い青空見上げ一言

「絶好のデート日和ですねっ♪」

「よしっ!出発だ!」

ライナがいつも通り笛に口付け上空を飛び回るグリフォンを呼ぼうとした時…、

「や、やっぱり、未知が吹いて下さいっ///」

妙に照れながら笛を俺に手渡す…。

「おいおい…?そこまできたらライナが吹けばいいのに…」

そう言うとライナが小さな声で…

「鈍感…///」

「ええ…!??」

訳わからん…。

訳分からないままに手渡された笛を吹く

ピーッ!甲高い笛の音色が上空を飛び回るグリフォンの元まで届くとグリフォンが静かに俺達の前に降り立った。

そうして俺達はグリフォンの背に乗り込む今回も俺が先頭に乗り手綱を片手にスマホ片手に持ちエメラは俺のリュックの中に入りそうしてスマホのナビを起動しバッテリーの残量をチェックする、うん、100%!満タンだな。

そして勢いよく翔び立つグリフォン。

そうして何時間経ったろう背中の重みが急に増した。後ろを向くとライナが俺のリュックを枕に寝息を立ている。この状況でも寝れるとは…伊達にこのグリフォンと共に旅しては無いって事か…。

しかし覚悟していたが海は遠いな…。

そうしているとお目当ての海岸が見えてきた!

「おいっ!ライナっ!海岸が見えて来たぞっ!!」

と言ってライナを起こす。

ライナは俺の背中越しに眼を擦り目の前の海岸を食い入るように観ている…

「これが海…♪」

さて…。やはりというかこの時期だけあって人が多い…。

まぁ…、それは想定内…、だからこそ人のいない海岸に行く!

ライナ海を眺めるライナに声を掛ける

「さて待望の海だが俺が目指しているのは別名”名無しの海岸"と言うここから東に位置する秘境だ!」

するとライナが

「海の秘境…いいですね♪」

と嬉しそうな顔を近づけて一言言う。

秘境大好きなのかな…?

「えーと…ナビだと…」

と不意にライナが

「ところでその海岸ってどうして、"名無しの海岸"って言うんです…?」

と質問してきたので

「ああ、噂だとその海岸には秘境と戒める何かがあるらしいんだが、いくら調査しても何がある訳でもない。それで"名無しの海岸"と言うね?」

そう言うと

「ふむふむ…」

と顎に手を当てて関心するように相槌を打つ。

「では言うなれば特徴のない海岸ってわけですね?」

「まあ言い方を変えればそうだな…(笑」

「だがそれが名無しの海岸故に秘境と戒める理由でもあるな…だが俺の中の非日常センサーがそこには何かがあると…!」

そう言うとライナが一言

「楽しみですねっ!」

純粋な眼を俺に向けてくる…!

自分でも分かるくらい恥ずかしい事を言ってるのにっ!!///

そんなやりとりをしながら東に進んで行くと、目的地である”名無しの海岸"に着いた…。

そしてライナがぽつりと「本当に何も無い…」

続いて俺が呟く…

「これが"名無しの海岸"…」

だがそんな時海岸の草が揺れ何が飛び出した!

続いてライナが「魔物!?」

魔物!?成人男性の腰の高さ程の大きめのリスみたいのはしっぽに実のような物体を巻き付けている…。

観察しているとリスみたいな生き物は赤い眼を俺達に向け…、一直線に向かって来るっ!

身構えているとライナが

「未知!逃げて!!」と俺に叫び、どこから取り出したのかわからない長剣を構えリスのような生き物に立ち向かう…。

だが年下の女の娘に守ってもらうのは三十路女としては情け無いだろうがっ!!

俺は周辺を見回し武器になる物を探す…。そんな時、海岸の真ん中に錆たような刀が…俺はそれを抜き錆だらけの鞘から刀身を抜き…すると紫色に刀身が淡く光り…。

気が付いたらそれを右手で持ち、構え左手で錆だらけの鞘を持っていた…、何だ右手に何か宿ったみたいに熱い…。何か分からんけども…これならあのリスみたいな生き物を撃退できるのでは…?そう思ってたら自然とライナの隣に立ち、

「年下に守ってもらうのは三十路女としては許せない性分でな!!だから一緒に戦うぞ!」

そう言うとライナが

「未知…、やっぱり貴女は私の好きな英雄さんです…////」

と呟く。

そして二人同時にその生き物に向かい…、

何十分経ったろう…?

深手を負ったリスみたいな生き物は弱々しい鳴き声と共に草むらの向こう側へと消え行く…。

「はーっ!はーっ!ただの大きいリスと思ってナメてたわ!」

そう言って海岸にへたり込み、それと同時にリュックからエメラが飛び出し俺の顔を舐める。

「あっははっ!エメラっ!くすぐたいから!」

それを微笑みながら観てたライナが微笑みながら一言…

「ふふふっ♪ご主人様である未知を治療しているんですよ♪」

「えっ!?コレ治療なの!?愛情表現じゃなくてっ!?」

「はいっ♪」

そんなやりとりをこの”名無しの海岸で日が暮れるまで続けた。

こんな海岸デートも

「たまにはありかもなぁ…♪」

「えっ…?何か言いました…?」

とと…、一部声に漏れてたか…。

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